ナガサキ・ユース代表団の活動を「被爆者なき時代を背負う一角」とみる調会長=長崎市内

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被爆・戦後75年 ナガサキ・ユースの視点 若者と平和活動 番外編 新しい「形」見つけて 核兵器廃絶長崎連絡協議会 調 漸会長

2020/07/24 掲載

ナガサキ・ユース代表団の活動を「被爆者なき時代を背負う一角」とみる調会長=長崎市内

新しい「形」見つけて 核兵器廃絶長崎連絡協議会 調 漸会長

 ナガサキ・ユース代表団の母体組織で、県や長崎市、長崎大でつくる核兵器廃絶長崎連絡協議会の調漸会長(64)に、代表団アンケート結果についての見解や代表団の今後などについて聞いた。
 -協議会は毎年、被爆地長崎の若者を対象に代表団メンバーを募集、選考している。代表団発足の目的は。
 2012年の長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)創設時に若者への啓発が任務の一つとしてあったため、半年ほど議論し、代表団をつくった。長崎の若者に核廃絶について学んでもらい、国際的に活躍できる人材を育成することが目的だった。
 -代表団のこれまでの成果をどう考えるか。
 目的に向け勉強する彼らは国際会議など現場経験を糧に、英語を話す能力や専門的な文書を読む力などが約半年で飛躍的に伸びる。被爆者なき時代が目前に迫っているが、その時代を担う一角と評価していい。未来に対する希望が一つ、間違いなくできた。
 -アンケートでは「核廃絶は可能」とする回答が全体の6割だった。
 核廃絶に向け、政治や国際社会など「壁」があるのは間違いないが、この数字は決して悪くない。世界に計1万3410発の核弾頭がある中、それでも可能性があると信じる素晴らしさを感じている。
 -経験者を含む半数が今、平和活動に携わり、9割が「今後平和活動をしたい」と回答した。
 感激し、驚いている。社会に出たばかりの若者たちに課せられる仕事は結構重い。その中で、代表団で学んだことを踏まえ、忙しく働きながらもそうした考えを持ち続けられるのはすごいことだ。
 -若者の平和活動を支えるため、社会に求められることは。
 普通の社会人が、自分の立場を超えて発言したり、行動したりするのを日本ではあまり見ない。「同調圧力」というか、みんな同じことをする社会は息苦しい。仕事しながらでもそれぞれが考えていることをより発言し、行動できるような社会になるといい。
 -代表団の今後は。
 核問題などを学ぶ世界の若者たちと、国境を越えてつながるのが今後の一つのイメージ。代表団からは、自発的に(学校などで出前の平和講座に取り組む)「ピースキャラバン隊」という取り組みが生まれた。今後は仕事を持つ社会人としてOB、OGたちがつながり、新しい「形」を見つけてくれるとうれしい。

 しらべ・すすむ 1955年長崎市生まれ。88年、長崎大医学研究科博士課程(内科学)修了。医師。同大学長補佐を経て、2008年から同大副学長。12年10月から核兵器廃絶長崎連絡協議会会長。ナガサキ・ユース代表団の選考にも携わる。被爆2世。