土神堂 1945年8~9月 小川虎彦氏撮影(長崎原爆資料館所蔵)
長崎市が2001年度から顕在化事業を進める唐人屋敷跡にある市指定史跡「土神堂」(館内町)の被害状況の写真。爆心から約4キロの距離だが、一帯のほとんどの民家の屋根瓦は爆風で吹き飛ばされている。原爆被害が広範囲に及んだことを如実に示している。
被爆直後の長崎市街の被災状況などを撮影した写真家、小川虎彦氏の撮影。
土神堂の建物自体は倒壊を免れたが、屋根瓦は半分以上が被害を受けたことが分かる。唐人屋敷跡には市が所有する三つの祠(ほこら)が残っているが、いずれも土神堂と同じように原爆でかなり被害を受け、荒れた状況だったという。
著名な郷土史家だった林源吉は終戦直後の1946年に「現存の三祠堂を長崎市は鄭重に取り扱い、修理施設をなすべき、日中融和上からも必要」と提言(「長崎談叢」88輯 99年)。文化財被害に目を向けていた知識人がいたことは、注目に値する。
=おわり=
被爆70年ナガサキ原爆写真展(長崎平和推進協会、同協会写真資料調査部会、長崎市立図書館主催) 7月22日~8月3日(午前10時~午後5時、28日は休み)、長崎市興善町の市立図書館多目的ホール。入場無料。