体験継承「できる」66.1%
被爆70年に合わせ長崎新聞社は、県内と米国の被爆者団体などの協力を得て被爆2~4世アンケートを実施、186人の回答を得た。被爆体験がない2世や一般市民でも被爆者の体験を後世に伝えることが「できる」「少しはできる」とする回答は計66・1%に達した。また、核兵器廃絶が可能だと思わないとの回答は54・8%で過半数を占める一方、集団的自衛権行使容認に伴う関連法整備の推進には51・0%が反対の意思を示した。
この結果から、世界に約1万6千発の核弾頭がある現実を諦観したり冷静に受け止めたりしながらも、安倍政権が進める自衛隊任務の拡大は戦争につながるとして危機感や懸念を、被爆体験の継承には意義や使命を感じている被爆2~4世の傾向が垣間見える。
「(被爆体験を)伝えることができると思う」は22・0%、「少しはできると思う」は44・1%。「自分なりに原爆の恐ろしさを後世に伝えたい」(54歳女性)など語り継ぐ使命を理由に挙げる人が目立った。一方、「伝えることができるとはあまり思わない」は15・1%、「できると思わない」は6・5%。「実際に体験していないので」(57歳女性)、「被爆体験をほとんど聞いていない」(43歳女性)などの声も。
親や祖父母らから被爆体験を直接聞いた人は76・3%。原爆の日前後に聞いた人が多い。「父が涙を浮かべながら話す様子にショックを受けた」(46歳男性)など、家族らの悲痛な体験は2世らの心に深く刻まれている。「具体的なことを聞いたのはこの4、5年ほど」(53歳女性)との回答もあった。被爆体験を聞いていないのは18・3%。47歳男性は「(親が)あまり話したくなかったようだ」と記した。
継承する上で必要な取り組みとしては、証言の映像化や文書化、義務教育導入など、仕組みづくりを求める意見が寄せられた。