長大レクナ NPT 第3回準備委報告 7

旧ソ連が国連に寄贈した「剣を打ちかえて鋤(すき)と成す」という国連の目的を象徴した像=米ニューヨーク、国連本部(RECNA撮影)

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長大レクナ NPT 第3回準備委報告 7 原子力の平和利用 「脱退後」の責任で論議

2014/05/11 掲載

長大レクナ NPT 第3回準備委報告 7

旧ソ連が国連に寄贈した「剣を打ちかえて鋤(すき)と成す」という国連の目的を象徴した像=米ニューヨーク、国連本部(RECNA撮影)

原子力の平和利用 「脱退後」の責任で論議

5日の議事は、原子力の平和利用だった。先進工業諸国は、自国の原子力産業の実績や技術力、福島第1原発事故以降の安全性向上、そして開発途上国に対して原子力分野で積極的に協力する姿勢を誇示し、NPT準備委の場を借りた原子力技術の「売り込み合戦」の観があった。例外はオーストリアで、昨年に続き明確に原子力が代替エネルギーとして不適当との旨を発言した。日本も先進工業諸国と基本的に同様。日本で備蓄が増加しているプルトニウムは、正当な目的下に保有していて不拡散体制に影響を与えないとし、各国の反論はなかった。

開発途上諸国は、原子力の平和利用は国家の「奪い得ない権利」だと繰り返し強調。国際社会はNPT加盟の非核兵器国に対し無条件、無制限に技術、資源、資材面で協力する義務があるとし、種々の輸出、技術移転の管理制度を批判した。

続く6日も議事は低調。NPTから脱退したと表明している北朝鮮を念頭に、「脱退」に関し10カ国が発言した。イラン、南アフリカなどの非同盟諸国は、条約からの脱退は主権の行使で、いかなる制限も脱退後の責任も負わされないとした。対して米、仏、オランダなど先進諸国は、NPTの当事国のときに平和目的で提供された原子力関連技術や物資などは脱退後、返還か廃棄か引き続き保障措置の下に置かれるべきで、軍事転用はNPTの義務違反と主張した。

6日午後、7日午前は、議長が2015年再検討会議への勧告を含む最終文書取りまとめに関し協議の時間を確保するとし、議事がキャンセルされた。既にロマン・モレイ議長はしばしば議場を離れていたが、協議は難航している様子。15年再検討会議の議長はアフリカから選出される予定だが立候補はなく、打診された国が難色を示しているとの情報も。容易に解決の見通しの立たない問題が山積しており、再検討会議に対し悲観的な見方が広がっていることが大きいようだ。

動きの少ない準備委だが明るいニュースもあった。中央アジア非核兵器地帯条約(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)の議定書に5核兵器国が合意し、国連内で署名式をした。この地は旧ソ連の一部でかつて核兵器が存在し、同国最大の核実験場だったセミパラチンスクの傷痕を残す。北半球最初の非核地帯という側面を持ち、停滞する核軍縮の動きに弾みをつけると期待される。