核爆発のリスク 廃絶へ市民の認識 重要
2日、会議場は空席が目立ち、雰囲気は低調。核兵器国は初日から自国の核軍縮の成果や核政策の正当性を訴えるだけで、核廃絶に向けた具体的議論を避け続けている。非核保有国も批判はするが、正面きっての議論をする国は少ない。例外的に強い主張をしたのがアイルランド。初日の新アジェンダ連合(南アフリカなど6カ国、NAC)の報告と同様、アイルランドのオブライアン大使が演説した。
大使は、核拡散防止条約(NPT)の核不拡散、原子力の平和利用に続き、核軍縮の義務に言及。「これが尊重されなければ(非核国がNPTに参加するための)条件に深刻な傷がつく」とし、核軍縮が進まない点を厳しく批判。核弾頭数の削減だけではなく、核軍縮について「法的な枠組みとその下での義務付け」が示されていない点が問題とし、NACの提言でもあったように「法的に拘束力のある核軍縮の枠組み」が核廃絶には不可欠と主張した。NACの提言は「NPT第6条(核軍縮)の義務を遂行するための実効性のある選択肢について全ての参加国が議論すべき」としており、これこそ来年のNPT再検討会議に向けた重要な提言の一つだ。
また、核兵器の影響に関する人道的側面について言及。興味深かったのが4月発表の英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)の最新報告書「安心するにはきわどすぎる・核使用のニアミスとその政策選択肢」を引用した点。確かに広島・長崎以降、核兵器は使用されていないが過去、核兵器使用直前までいった事例や、誤って発射しそうになった事例が数多くあることを同書は示している。核兵器がなくならなければ核爆発が再び起きるリスクは消えないとの主張だ。このリスクを一般市民も含めて認識することが、核廃絶への道を確実にするという指摘は大変重い。
核兵器の脅威については、日本の外務省も「核兵器使用の多方面における影響に関する調査研究について」(主査・朝長万左男長崎大名誉教授)を3月に発表。核兵器がいかに非人道的影響を及ぼすか、科学的根拠を基に分かりやすく一般市民に伝える努力が、一層重要となる。
これ以外では、パラオが初めて非核憲法を持った国の誇りを語り、核実験のヒバクシャの立場から包括的な核兵器禁止条約の必要性を強調した。