長大レクナ NPT 第3回準備委報告 5

報告のため議長席に座る中東会議ファシリテーター、フィンランドのラーヤバ大使(手前)=1日、国連本部(RECNA撮影)

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長大レクナ NPT 第3回準備委報告 5 どうなる中東会議 重大問題、好転の兆しも

2014/05/04 掲載

長大レクナ NPT 第3回準備委報告 5

報告のため議長席に座る中東会議ファシリテーター、フィンランドのラーヤバ大使(手前)=1日、国連本部(RECNA撮影)

どうなる中東会議 重大問題、好転の兆しも

1日午後は、重大問題の中東会議実現が議題だった。中東は、核兵器開発疑惑があるイランと、事実上の核保有国でNPT非加盟のイスラエルを抱える。背後には長い歴史をもつパレスチナ問題が存在。2011年から中東各地に波及した民主化運動「アラブの春」も社会的混迷へと流れ、政治的に不安定な状況にある。

中東の非核化、非大量破壊兵器地帯化を目指す国際会議は、10年のNPT再検討会議で12年開催が合意された。だがイスラエルの後ろ盾である米国の調整不足もあり実現せず、昨年のNPT第2回準備委は強い失望と批判が会議を支配した。

今回、中東会議に向けたファシリテーター(進行役)、フィンランドのヤッコ・ラーヤバ大使の報告から始まり、関連発言が欧州連合(EU)、アラブ諸国などからあった。全体的に中東の非核化などを支持する発言が相次ぐ一方、原子力の平和利用の権利を互いに保証するため、原発などの核物質が軍事目的に転用されることを防ぐ国際原子力機関(IAEA)の保障措置(査察)強化などを訴える発言があった。前回準備委はエジプトが会議後半をボイコットするなど不穏な状況もあったが、今回は着実な進展を期待する雰囲気で議論は進んだ。エジプトも、14年中の中東会議開催に努力する決意を表明した。

ラーヤバ大使の報告は希望の持てる内容だった。とりわけ今年にかけてスイスであった3回の中東会議に関する非公式協議について「参加者の積極的、建設的でオープンな態度と(中東会議に向け)進展させようという希望に大変感銘を受けた」と報告した。だが「重要な点において多様な考え方が依然存在している」とも述べており、楽観視できる状況でもないようだ。

大使の報告は昨年とほぼ同じ形式だが、中東会議の見通しの部分を比較すると興味深い。昨年の報告は「会議の体制が地域諸国の自由意思によって整備され次第、遅滞なく会議は開催される。そのためには地域諸国の見解が一層収れんすることが必要」。これに対し今回は「会議の体制が地域諸国の自由意思によって整備され次第、遅滞なく招集者(国連、米英ロ)は会議を開催することを目指している。そしてその合意は今年中に達成できると希望している」と前向きな内容だった。中東会議に向け、かなりの進展があった可能性があり、推移に注目したい。