長大レクナ NPT 第3回準備委報告 4

NGOなどが主催した北東アジア非核兵器地帯に関するワークショップ=4月30日、国連本部(RECNA撮影)

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長大レクナ NPT 第3回準備委報告 4 非核兵器地帯への希望 不拡散、軍縮に効果的

2014/05/03 掲載

長大レクナ NPT 第3回準備委報告 4

NGOなどが主催した北東アジア非核兵器地帯に関するワークショップ=4月30日、国連本部(RECNA撮影)

非核兵器地帯への希望 不拡散、軍縮に効果的

会議3日目(4月30日)のハイライトは、ラテンアメリカおよびカリブ地域核兵器禁止条約(トラテロルコ条約)機構のマセド・ソアレス大使(ブラジル)の非核兵器地帯に関する演説だった。

大使は、同条約の交渉当初の政治情勢について「当時の中南米は、非核兵器地帯設置へ向けてさまざまな問題を抱えて逆風ばかりで、条約成立の見通しは立たなかった」と説明。苦難を経て条約を実現した結果、「中南米における信頼醸成と安定が進むことにもなった。中東も現在の厳しい状況を乗り越え非大量破壊兵器地帯を実現することは可能だ」と発言し、会場から拍手を浴びた。

非核兵器地帯については、初日のモンゴルの演説も印象深い。同国は1992年に「一国非核地位」を宣言。98年に国連総会決議で非核兵器地帯としての地位を承認された。演説では「非核地帯の設立が、地域の核不拡散、軍縮に効果的な手段であることが実証された」と述べ、既存の非核地帯の強化にとどまらず「中東や北東アジア非核地帯の確立に向けて必要な措置が取られるべきだ」と指摘。大変心強い発言だった。

30日は、国連本部で準備委と別に北東アジア非核兵器地帯に関するワークショップもあり、長崎、広島市長や非政府組織(NGO)関係者らが同地帯の実現に向け議論した。

準備委では、核不拡散、核軍縮などの議論もあり、日本は軍縮・不拡散教育について発表。マレーシアは演説で、マレーシア人唯一の広島原爆被爆者ラザク氏の言葉「原爆の教訓を記憶にとどめることが、平和と愛への道に戻る唯一の希望である」-を引用、印象的だった。

アフリカや中東、東南アジアなどの新興国は、核拡散防止条約(NPT)の三本柱の一つ、原子力の平和利用について、その「侵しえない権利」に言及。イランは「平和目的の原子力の開発、研究、生産、利用に関する侵しえない権利の差別なき履行は、NPTのもっとも基本的な目的の一つ」と強調し、特に先進国はその権利を全面的に尊重すべきだと主張した。しかし、イランが長期にわたり放射性物質を用いた多くの実験を申告せずに実施したとする国際原子力機関(IAEA)保障措置(査察)協定違反の疑いについての説明は全くなかった。これでは世界の信頼は得られない。