非人道性の主張 願い共通 一方で温度差
核拡散防止条約(NPT)再検討会議第3回準備委は28日、一般討論で28カ国・国家群と1国際組織が発言。ほとんどが核兵器使用の非人道性に触れたのが印象的だった。
国連のケイン軍縮担当上級代表は「この会議は(2015年の)再検討会議への具体的勧告をまとめる努力が必要。それには10年再検討会議の合意後の履行状況を点検し、共通の願いの進展を阻む原因を突き止める必要がある」とした。
九つの国(米ロ英仏中と印パ、イスラエル、北朝鮮)の核兵器保有がNPTや国際慣習法に違反するとして国際司法裁判所に24日提訴したマーシャル諸島の外相の一般討論は、拍手喝采を浴びた。外相は60年前のビキニ水爆実験の目撃者であると証言。1946~58年に行われた67回の米国の核実験は、大部分が国連信託統治下で国連が許可したことを参加者に思い出させた。その爆発規模は12年間、毎日1日当たり広島原爆1・6個に相当すると指摘。核兵器の危険性とその結末を、国連やとりわけその参加国に再度想起させる必要があることなどに言及した。
南アフリカなど6カ国の新アジェンダ連合(NAC)を代表したのはアイルランド国連大使。NPTの核不拡散体制は強化されてきたが、核軍縮では何を達成できたかと疑問を呈した。5核兵器国は今回の準備委に7項目の核軍縮義務の進展を報告しなければならず、大使は「われわれは報告を待っている」と述べた。核兵器のない世界を達成するために明確な基準と時間枠と検証システムを持った法的枠組みを今こそ真剣に検討すべきだというNACの主張の核心にも触れた。
日豪など12カ国の軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)を代表したのは岸信夫外務副大臣。15年の再検討会議では10年合意の履行を点検し、20年再検討会議に向けてNPTの3本柱すべてのさらなる強化を目指すべきという展望を述べたが、一歩一歩というNPDIの基本ペースが相当緩やかであることを想像させた。この点は核兵器廃絶に熱意を抱く多くの国々と見解を異にするだろう。NPDIの中でも、メキシコは核兵器禁止の法的文書を交渉する外交プロセスの開始を、フィリピンは核兵器禁止条約交渉の即時開始をそれぞれ主張した。