被爆2世 阪口博子さん(61) 大震災 旅自体が変化 指摘相次いだ原発事故
ピースボートの船内では、原爆証言や原爆関連映画の上映会が催された。横浜からフランス領タヒチまでは、高校生平和大使5人、県平和運動センター被爆連の奥村英二事務局長、県被爆二世の会の丸尾育郎会長、それにタヒチやオーストラリアの核被害者たちと討議し、「核のない世界を目指すグローバル・ヒバクシャ・フォーラム声明」「若者共同声明」をまとめた。
船内をはじめ、タヒチ・パピーテやスイス・ジュネーブの市民団体、イタリア・ナポリの中学校、トルコ・イズミルのエゲ大学などで被爆証言をした。ポーランドのアウシュビッツではスペインの高校生に、またローマの市民集会でも被爆体験を語った。
東日本大震災発生以降は、各地で福島第1原発事故についての質問を受けた。「ヒロシマ・ナガサキを体験した日本がどうして原発を認めているのですか」と。私は「原爆と原発は核分裂という仕組みは全く一緒で放射線を出す。絶対安全ということはないから反対をしてきたが、不安が的中した。これからは自然エネルギー中心でいくべきだ」と答えた。
イタリアでは6月に原発についての国民投票があるということだった。ヨーロッパとアジアを比較したときに、ヨーロッパではドイツがナチスの虐殺行為や強制労働に対して謝罪や補償をして周りの国々と和解を進め、その関係は良好に思えた。それに対しアジアでは、日本の謝罪や補償が不十分と思われ、十分な和解には至っていない印象だ。そのことと関連するが、日本は朝鮮や中国、東南アジアの国々に対しての加害認識が不足していると思う。ピースボートの船内で日本の加害について語ったが、乗船していた在日韓国人と一緒にそのことを話し合う企画が実現しなかったのが残念だった。
長崎のメンバーは被爆当時に学徒動員、疎開、幼児だった計3人に被爆2世という構成。それぞれ違う世代の証言ができてよかったと思う。