県立長崎西高3年 片山奈苗さん(17) まず種をまかなければ
「同じ世代の若者に働き掛け、その友人にも伝えてもらい、平和への思いを広げたい。種をまかなければ芽は出ない」。そう決意を語る。
ボランティアガイドの「平和案内人」をしている母親と同じようなことがしたいと中学校で3年間、平和実行委員を務めた。それでも「平和活動といっても、8月9日に被爆者の講話を聞くことぐらいしか考えたことはなかった」。
そんな思いが変わってきたのは昨年、高校生1万人署名活動に参加してから。最初は声を掛ける勇気が出ず、立ちすくむこともあったが、街頭で署名に応じてくれた被爆者が「思い出したくないけど、あなたたちが頑張っているなら私たちも頑張らないと」と話し掛けてくれた。「被爆者の励みになっている」とやりがいを感じた。
核兵器をめぐる情勢について「進んでいるとは思うけど、すぐに廃絶するのは無理だと思う」と冷静に見詰める。「日本人が遠い国のことをあまり知らないように、遠い国の人は原爆のことに興味がないのでは。知らない人にまず知ってもらわないと」と地道に取り組むつもりだ。
外国に住みたいとの思いを幼いころから持ち続けている。高校で華道、茶道、書道の部活動に所属したのも日本の伝統文化を外国人に伝えられるようになるためだった。最近は「日本人なら原爆のことも伝えなければ」と感じている。
3年生になり、受験勉強と模試に追われる日々。将来の明確な目標はまだ見えないが「日本と外国が身近な存在に感じられるようにしたい」。平和大使もその第一歩だ。