平和市長会議 加盟都市増え存在感
核兵器廃絶を掲げ、1990年に国連広報局登録NGO、91年に国連経済社会理事会登録NGOとなった平和市長会議(会長・秋葉忠利広島市長)は近年、急速に加盟数を増やしている。1日現在で世界143カ国・地域の3880都市(日本712都市)となり、5年前の前回核拡散防止条約(NPT)再検討会議時から4倍近くに拡大。今回の再検討会議には10カ国・地域の30都市がニューヨークに代表団計89人を派遣した。
国連本部で4日あった平和市長会議の会合には潘基文国連事務総長も出席し、同会議への期待を語った。
「(加盟都市は)5千に達するだろう。約10億人を代表することになる。皆さんの役割は極めて重要。平和な社会はコミュニティーから立ち上がってくるもので、使命を帯びた都市のリーダーたちが必要だ」
活発な討論も展開された。パネリストの赤十字国際委員会(ICRC)のピーター・ハービー氏は、原爆による次世代への健康面での影響を指摘。国際労働組合総連合書記長のトム・ライダー氏は「核兵器が安全保障をもたらすという考えを論理で打ち砕かねばならない」。オランダから参加したクリスタバン・ベルゼン氏は「核兵器について互いに責任をなすり合い、何十年も堂々巡りを続けている。政府の目を覚まさせるのがわれわれの責任。圧力をかける必要がある」と述べ、核兵器が支配する世界の切り崩しを訴えた。
同会議副会長の田上富久長崎市長ら十数人は加盟都市が世界各地で取り組んだ「都市を攻撃目標にするな(CANT)プロジェクト署名」約102万人分の一部をカバクトゥラン再検討会議議長に直接手渡すなどして存在感を示した。
「核兵器なき世界」を訴えたオバマ米大統領のプラハ演説を追い風に、大きな勢力に成長してきた平和市長会議。市民社会と直結する世界都市のネットワークとして発言力、発信力を強め、核兵器への「包囲網」を確実に広げようとしている。
会合で広島、長崎での国際会議開催や加盟都市数をもっと増やすよう主張した神奈川県藤沢市の海老根靖典市長は取材に対し「加盟都市にはそれぞれ姉妹都市などがあり、そこにも呼び掛けて拡大を最大限目指す必要がある」と強調した。一方、国内では1479自治体(全自治体の82・3%)が非核宣言をしているが、日本非核宣言自治体協議会(会長・田上市長)の加入は261自治体(同17・6%)にとどまり「足場」をさらに固める必要性も指摘した。