伝言 被爆地から 7

核兵器廃絶に向けた動きが前進することに期待を寄せる広瀬さん=長崎市若草町の自宅

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伝言 被爆地から 7 長崎の証言の会代表委員 広瀬方人さん(80) 核戦争の脅威残る

2010/04/26 掲載

伝言 被爆地から 7

核兵器廃絶に向けた動きが前進することに期待を寄せる広瀬さん=長崎市若草町の自宅

長崎の証言の会代表委員 広瀬方人さん(80) 核戦争の脅威残る

昨年4月、オバマ米大統領のプラハ演説を聞いた。ブッシュ前大統領から百八十度の転換で、世界の雰囲気が変わったと思った。しかし、ノーベル賞受賞の演説ではアフガン戦争を正当化した。期待度は下がった。

2005年の前回核拡散防止条約(NPT)再検討会議のとき渡米し、一般市民がどう考えているか聞いてみた。米国人の7、8割が原爆はやむを得なかったと考えていると思う。

約50年間反核運動に取り組み、挫折し、やっても同じじゃないかと思うこともあった。でも被爆者が言わなければと自らを励まし、そして励まされながらやってきた。最近の核をめぐる動きは(核廃絶に向けた)プロセスの一つではあるが、米国の新核戦略指針は核抑止力を重視し、先制攻撃を否定していない。利用目的を狭めたことは進歩だが、核戦争の脅威は残った。これからも被爆者の訴えを続けていかなくてはと思っている。

00年の再検討会議では核廃絶の明確な約束などを取り決めた。今回、米国がさらに発展させた案を示し、合意することを期待している。少なくとも後退はしないだろう。

今、一生懸命運動しているのは、割と若くして被爆した人が中心。それだけ時が過ぎた。

世界では核兵器をみんなが怖いと思い、なくそうとする動きも出ているようだけれど、まだまだ大変なような気がして。「他の国が持っていると何をされるか分からない」と互いに思っている間は難しいかも。今の核兵器は一度使ってしまったら、みんなが駄目になってしまうほどの威力なのに。まだ本当の恐ろしさが分かっていないんだと思う。