伝言 被爆地から 2

「何としても戦争も紛争もない世界をつくらないといけない」と語る本島さん=長崎市内の自宅

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伝言 被爆地から 2 元長崎市長 本島等さん(88) 謝罪からの出発を

2010/04/21 掲載

伝言 被爆地から 2

「何としても戦争も紛争もない世界をつくらないといけない」と語る本島さん=長崎市内の自宅

元長崎市長 本島等さん(88) 謝罪からの出発を

残酷の極限として広島、長崎の原爆は語られる。後遺症を含めて本当に深刻で大変な問題だ。だが、南京大虐殺も沖縄戦も、みんな残酷の極限だ。

虐殺、強制連行-。日本はアジア諸国を侵略した。真珠湾で戦争の火ぶたを切ったのも紛れもなく日本。当時、十分に鍛え上げられた軍隊と決して降伏することのない国民がいた。どんな時代でも世界の指導者は秩序を乱す国や民族を懲らしめるもの。だから、なぜ原爆が投下されたかも考えなければならない。

日本は過去にしたことを「申し訳ありませんでした」と謝り、出発しないといけない。そして何としても戦争も紛争もない世界をつくらないといけない。

オバマ米大統領が出てきて「核兵器なき世界」を主張したのはうれしいが、そもそも彼が米国の大統領になったこと自体、大変なことだ。黒人が人間として扱われなかった奴隷時代の闇を打ち払って誕生した。そんな世が来るとは誰も思っていなかったから世界には喜びがある。その指導者が「平和」を口にした。遠い彼方(かなた)が見えた感じはする。平和な世界が、もしかしたら本当に来るんじゃないかと。