私はこう思う
 被爆地五輪インタビュー 7

「国を挙げて招致すべきだ」と話す高田氏=佐世保市日宇町、ジャパネットたかた本社

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私はこう思う 被爆地五輪インタビュー 7 ジャパネットたかた社長 高田明氏(60) やってみる価値はある 国を挙げ不可能を可能に

2009/10/30 掲載

私はこう思う
 被爆地五輪インタビュー 7

「国を挙げて招致すべきだ」と話す高田氏=佐世保市日宇町、ジャパネットたかた本社

ジャパネットたかた社長 高田明氏(60) やってみる価値はある 国を挙げ不可能を可能に

-招致をどう思うか。

賛成。核兵器廃絶は人類最大の願いであり、被爆地の広島と長崎はメッセージを発信すべきだ。どんな理由であれ、みんな核兵器はない方がいいと思っているはず。オバマ米大統領のノーベル平和賞受賞があり、最高のタイミングで手を挙げたと思う。

-財源の問題など実現に向けた課題は多い。

広島、長崎が財源をすべて負担するという従来型の考えにはならないだろう。国民の同意を得て「財源はみんなでシェアしましょう」とすべきだ。みんなで平和のため、子どもたちのためにやっていこう、というぐらいの思いが必要だ。

-招致の実現可能性は。

現状では非常に難しいのでは。国の支援や広域連携がないと不可能だろうが、やってみる価値はある。核兵器の悲惨さを一番分かっているのは日本。不可能を可能にするため国を挙げて進めるべきだ。

-開催すれば、地域経済へはどんな影響があるか。

高田明氏
「国を挙げて招致すべきだ」と話す高田氏=佐世保市日宇町、ジャパネットたかた本社
経済を活性化させよう、日本を元気にしようといった話は今回、二の次ではないか。東京が招致するのとはまったく違う。崇高な課題に向かうものだ。

-五輪憲章は開催申請について1国1都市と規定しており、ハードルは高い。

そんなことを言っていては何もできない。考えてみると広島、長崎を合わせてアメリカの1都市ぐらいの大きさかもしれない。サッカーのワールドカップ(W杯)は日韓共催だった。人間は目標を掲げたら、そこへ向かう知恵が出てくる。核廃絶も何年かかるか分からないが、大切なのは過程だ。鳩山首相が掲げた温室効果ガスの25%削減もそうだが、現状を見てばかりだとみんな可能か不可能かの議論に終始すると思う。だが、今回はそれを超えるメッセージ性があると思う。

-「核廃絶の理念と五輪の“お祭りムード”はそぐわない」「核廃絶に向けほかにやるべきことはある」という意見もある。

考え方はさまざまで、賛成、反対どちらの意見も正しいと思う。だが核廃絶の思いは一致している。高校時代に東京オリンピックがありテレビで見たが、今も強烈な印象が残っている。スポーツは国境を超えた人と人との触れ合いであり、言葉以上に平和を感じることができるし、子どもたちの健全育成にも寄与するのではないだろうか。

【略歴】たかた・あきら 平戸市生まれ。1974年、父親が経営する「カメラのたかた」に入社。86年分離独立、99年に現在の社名に変更した。同社は現在、サッカーのV・ファーレン長崎のメーンスポンサー。

【編注】「高田明氏」の高は口が目の上と下の横棒なし