届けメッセージ
 =8・6稲佐山平和コンサート= 下

県内外の10組が出演した「えぼしんミュージック」。平和コンサートの輪は広がりを見せ始めた=佐世保市烏帽子町、えぼしスポーツの里

ピースサイト関連企画

届けメッセージ =8・6稲佐山平和コンサート= 下 広がる輪 県民レベルで他地域でも

2008/08/06 掲載

届けメッセージ
 =8・6稲佐山平和コンサート= 下

県内外の10組が出演した「えぼしんミュージック」。平和コンサートの輪は広がりを見せ始めた=佐世保市烏帽子町、えぼしスポーツの里

広がる輪 県民レベルで他地域でも

七月二十日、佐世保市烏帽子岳で「えぼしんミュージック 平和の願いを佐世保から」。演歌やポップス、和太鼓など多彩な顔ぶれで十組が出演し、行楽地をにぎやかに彩った。

長崎市稲佐山の平和コンサートの協賛企画として初めて開かれた。佐世保市の会社役員で、実行委員長の坂本慎一朗さん(48)が昨年、稲佐山のコンサートスタッフとして参加したのがきっかけで実現した。「長崎に比べ佐世保は何と平和に無関心か。平和や戦争について深く考える機運を県内全体に広げたかった」

平和に対する取り組みは同じ県内でも地域によって異なる。佐世保市は「佐世保大空襲」(一九四五年六月二十八-二十九日)など戦禍の記憶を持つが、戦後は米海軍基地、自衛隊の拠点が置かれ「基地の町」としての印象が強い。被爆地長崎市との温度差は常に指摘されてきた。

さだまさしさんが稲佐山の平和コンサートを主催していたころには、協賛コンサートなどの動きはなかった。雲仙市のミュージシャン川田金太郎さん(49)ら地元有志が継承し、県民レベルのイベントとなったことで、「われわれも」と他地域でも胎動が始まったのだ。

来年に向けては、佐世保市小佐々町でかつてアマチュアバンドの「登竜門」として知られた「冷水ロックフェスティバル」の実行委員長、水口茂夫さん(50)が新たなコンサートを検討している。坂本さんはえぼしんミュージックを続け、川田さんは地元島原半島でもコンサートを開く考えという。

さださんが始めた平和コンサートは核兵器廃絶や戦争反対を声高に叫ぶわけではない。「音楽を楽しめるのは平和だから」というシンプルな訴えを考えれば、あらゆるコンサートが平和コンサートになりうる。

「コンサートに参加して楽しかった。なら平和に感謝しよう。(地球上の)六十億人がそう思えば、世界は変わる。われわれは小さなことしかできないが、大きなことへの一歩でもある。どんどん広がっていってくれれば」。川田さんはそう願う。

二〇〇六年まで「平和の種」をまき続けたさださんは、新たな展開を見せ始めたふるさと長崎の今後を期待を込めて見守っている。「今の若者は沸騰しない世代。どれだけの人を巻き込み、どれだけのムーブメントになるのか。だが、時間がかかっても考えを伝えていかないといけない。それが十年後、二十年後の長崎につながる」

「夏!まだまだ長崎から2008」は六日午後四時半から稲佐山公園野外ステージで開演。プロ、アマ九組が熱い、熱いステージを繰り広げる。