決意の夏
 =ナガサキ再構築へ= 5

「被爆60年核兵器廃絶2005平和ナガサキ大会」の共同開催を発表する高石哲夫連合長崎会長(中央)ら=4月20日、長崎市内

ピースサイト関連企画

決意の夏 =ナガサキ再構築へ= 5 平和団体 手探りで“共同歩調"

2005/07/29 掲載

決意の夏
 =ナガサキ再構築へ= 5

「被爆60年核兵器廃絶2005平和ナガサキ大会」の共同開催を発表する高石哲夫連合長崎会長(中央)ら=4月20日、長崎市内

平和団体 手探りで“共同歩調"

「被爆六十年の節目を、核兵器の怖さを世界に力強く発信するスタートにしたい」―。連合長崎会長の高石哲夫は四月、県原水禁会長の中崎幸夫、核禁会議長崎議長の川村力と並んで記者会見。八月の統一集会「被爆60年核兵器廃絶2005平和ナガサキ大会」の開催を発表した。

直前の実行委の初会合が長引き、記者会見は予定から三十分近く遅れて始まった。「核じゃなかけんね、核兵器やけんね―とか、延々もめてたんでしょ」。記者の冗談交じりの問い掛けに、中崎は苦笑いで応じた。

原水禁は旧総評系労組、核禁会議は旧同盟系労組の平和運動団体。三団体の”統一行動”は連合が仲を取り持ち、中央主導で議論がスタートした。昨年から今年にかけては、春の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた核兵器廃絶を求める署名活動を共同で展開。再検討会議のニューヨークでも三者の代表団が行動を共にした。

しかし、原発をめぐる原水禁と連合、核禁会議の隔たりは大きい。八月の統一集会は、核兵器の廃絶と被爆者援護の充実だけがテーマ。「これなら、誰も異論はなかろう、と」(川村)

「戦後六十年、それぞれの団体が一生懸命訴えてきた結果が、核保有国のわがままで決裂するしかなかった五月のNPT再検討会議。違いを超えて、一致できるところは一緒にやって、より大きな声にしないと絶対に届かないんですよ、世界には」。高石は訴える。

だが、原水禁側の反応は微妙だ。自前で開く「世界大会」では、今年も「原子力政策を転換させるために」―など、核政策全般を問うさまざまな分科会を開く。

「一緒にできんかな―その気持ちは、よく分かる。ただ、整理できない課題をすべて棚上げしてしまって、今後の運動が説得力を持てるのか、とも思うんですよ」。県原水禁事務局長の坂本浩は、言葉を選びながら複雑な胸の内を語る。

被爆者とともに、平和運動を支え、引っ張ってきた―それぞれの団体に自負がある。一方で、ほんの一昔前まで、被爆地のどの職場にも必ずいた戦争体験者や被爆者の最後の世代が現役を退く年齢を迎える中、体験の風化に伴う「運動の先細り」の懸念もまた共通している。

「次の世代に運動をどう手渡すか」―。手探りの共同歩調が続く。(文中敬称略)