長崎を最後の被爆地とする誓いの火 (長崎市平野町、1987年8月9日建立) ◆ 核廃絶まで燃え続ける
長崎市の爆心地公園と長崎原爆資料館を結ぶ階段の途中に立つ五角形の白い灯火台。毎月九日、オリンピック発祥の地、ギリシャ・オリンピアの丘で採火された「聖火」がともる。
古代、五輪開催中はすべての戦闘が中止された―との故事から「平和の象徴」とされてきた聖火が長崎に贈られたのは一九八三年八月。火は「長崎を最後の被爆地とする誓いの火」として、市民の手で守られてきた。
灯火台の完成は四年後。建設費には、内外から寄せられた浄財千四百万円が充てられた。
建設委員会の代表を務めた長崎市職員の里正善さんは今春、核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせてニューヨークを訪れた。会議は何の成果もなく幕を閉じたが、里さんは「核兵器廃絶を願う世界の流れを実感した」という。
「あの日」から間もなく六十年。長崎は依然、「核戦争による最後の被爆地」であり続けている。だが、地球上に核兵器がある限り「第三の被爆地」が生まれる可能性は消えない。核兵器廃絶の日まで、誓いの火は静かに燃え続ける。