核大国に挑んで
 =NPT会議ニューヨーク報告= 2

にこやかに記念写真に納まる伊藤長崎市長(右から2人目)ら「平和市長会議」のメンバー=3日、ニューヨーク

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核大国に挑んで =NPT会議ニューヨーク報告= 2 連 帯 国際社会に協力の橋を

2005/05/22 掲載

核大国に挑んで
 =NPT会議ニューヨーク報告= 2

にこやかに記念写真に納まる伊藤長崎市長(右から2人目)ら「平和市長会議」のメンバー=3日、ニューヨーク

連 帯 国際社会に協力の橋を

「きょうは人類の生存に向けた闘いを始める日だ。私たちは必ず勝つ。私たちは勝たなければならない」

反核・反戦ラリーに続いて開かれたセントラルパークの大集会。「核兵器廃絶のグローバル・リーダー」―。司会者にそう紹介されてステージに立った秋葉忠利広島市長がスピーチの声を張り上げ、二〇二〇年までに核兵器を全廃することを提唱する「2020ビジョン」への支援を呼び掛けた。

秋葉市長が会長、伊藤長崎市長が副会長を務める国際NGO「平和市長会議」。一九八二年の第二回国連軍縮特別総会で、当時の荒木武広島市長が「国境を超えた連携」を世界の都市に呼び掛けたのが始まりで、九〇年に国連広報局の登録NGO、翌年には国連経済社会理事会の登録NGOになった。

目を引くのは、今年に入ってからの加盟都市の急増だ。

昨年十二月、百九カ国、六百五十二都市だったメンバーは五月、百十一カ国、千二都市にまで増えた。核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせ、十六カ国、七十九都市がニューヨークに代表団を派遣した。

「短期間でメンバーがこんなに増えた。ものすごいインパクトを国際社会に与えているはずだ」。ニューヨーク在住の平和市長会議事務局スタッフ、ジャニス・ホールさんは力説する。「きっと、どこの都市も気付き始めたのだと思う。市民の暮らしや街を守るのは『市長さん』だ―と」

国連本部で三日に開かれた平和市長会議のセッションでは、アナン国連事務総長が多忙なスケジュールを割いて自ら会議場まで足を運び、スタッフの言葉を裏付けるように、平和市長会議への期待の大きさを訴えた。

「国連は国と国の協議の場だが、世界中の地域社会の知恵と熱意を必要としている。皆さんには、国際社会に協力の橋を懸けるという特別な役割がある」

米国内の加盟都市は七十。サンフランシスコやロサンゼルス、デトロイトなど、世界的に知られる大都市の名前も並んでいる。記念撮影の場に移動する途中の立ち話で、こんな声を聞いた。「政府は政府。核兵器に関して言えば、私の考えは大統領とは全く別だ」。米国人の市長が穏やかに笑っていた。