今、9条を語る
 =憲法論議の中で= 6(完)

「憲法9条は実感のないものだった」と語る江頭真由美さん(左)、真寿美さん姉妹=長崎新聞社

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今、9条を語る =憲法論議の中で= 6(完) 江頭真由美さん・真寿美さん 護憲 気負わず考えたい

2005/05/02 掲載

今、9条を語る
 =憲法論議の中で= 6(完)

「憲法9条は実感のないものだった」と語る江頭真由美さん(左)、真寿美さん姉妹=長崎新聞社

江頭真由美さん・真寿美さん 護憲 気負わず考えたい

「P」EACE(平和)
「A」CTION(行動)
「C」ONSTITUTION(憲法)
「K」EEP(守る)

四つの単語の頭文字と憲法九条の「9」を合わせた「PACK9(パック・ナイン)」。憲法記念日の三日、長崎市内で開く護憲イベント「ながさき9条フェスタ」実行委の愛称だ。

「横文字でとっつきやすいでしょ」。愛称の名付け親は江頭真寿美さん。「最初は『憲法九条を守る集い』みたいな名前で、おじさんたちが『団結、頑張ろう』って拳を突き上げる感じ。それでは、若い人たちは行きたくても行きにくいかな、と思って」

実行委のメンバーには、大学教授や被爆者でつくる「県九条の会」、労働組合の代表、宗教者ら長崎の平和運動の“顔”が並ぶ。だが、真寿美さんが提案した愛称はすんなり通った。いつの間にか、双子の姉、真由美さんと一緒にフェスタ野外ステージの司会まで任された。

ほんの半年前まで、平和運動とは縁がなかった姉妹。昨年十月、中東などで取材経験のあるフリージャーナリストの講演会に行くと、慌ただしく準備する市民団体の人たちがいた。

「何かお手伝いしましょうか」。どちらともなく、つい口に出た。その後、この団体の会合に顔を出すたび、平和運動の堅苦しいイメージは変わっていった。「みんな真剣に自分の考えをぶつけていた。平和のために何かしたいという自分たちの思いを、行動に移せるかもしれない」(真由美さん)

市民団体がフェスタを提唱したのに合わせ、姉妹も自然と実行委に加わった。現在、真寿美さんは学童保育クラブの指導員。「今、もし憲法が変わったら、この子たちが武器を持って戦場に行くかもしれない。そう考えると切なくて…。食い止めるのは私たちの世代じゃないかって」

真由美さんも、今の改憲論議に首をかしげる。「ほかの国から攻撃されるかもしれないから、九条を変えようと言う。なぜそんなに怖がるの。自信を持って世界と付き合ったらいいんじゃないのかな」

司会を務めるフェスタのステージには、県内で活動するストリートミュージシャンが登場する。「何か楽しそうって思ったら、気軽に来てください」。二人の気持ちに気負いない。

▽えがしら・まゆみ、ますみ 長崎市生まれ。市内の小、中、高校を卒業、「就職したのも辞めたのも同じ」。現在真由美さんはフリーター、真寿美さんは市内の学童保育クラブの指導員。二十七歳。