平和活動の継承 悩みながらも若者連携
十一月七日。五年目の活動を宣言した「高校生一万人署名活動実行委」の結成集会に、長崎、佐世保などの高校生約三十人が集まった。三分の一以上は新顔。クラス替えの新学期の教室のような雰囲気に包まれた。
「実行委の先輩にあこがれた」「テレビで見て参加したいと思った」「友達と一緒に来た」―。高校生たちは、緊張の面持ちでそれぞれ決意を語った。
集会の最後、来年の被爆六十周年に合わせ、署名目標を「六万人」とすることが発表されると、自然に拍手がわいた。実行委の一人、寺崎るいさん(17)=長崎女子高二年=は「被爆地に生まれ育った高校生として六十周年に何ができるかを考える意味を込め、数にこだわりたい」と話す。
実行委は、核兵器廃絶の署名活動のほか、フィリピンなどへの「一万本鉛筆運動」や在韓被爆者との交流を通じ、現代の戦争、貧困、差別の問題にも関心を寄せる。
しかし、活動の知名度は全国区に成長したにもかかわらず、メンバーの中には「高校生に浸透していない」との思いが強い。今年八月に国連欧州本部に届けた署名約三万八千人分のうち、高校生分は一万人超にとどまった。
学校でも、被爆体験講話で眠りこけ、署名活動に冷ややかな同級生にがっかりすることがある。だが、同じ世代の意識の差に悩みながらも、長崎から全国へ、海外へ広がるネットワークに自信をのぞかせる。
一方、長崎市は二〇〇二年度から、「平和学習プログラム」の一環として、高校生や大学生らが、原爆や環境、人権など世界平和にかかわる社会問題を学ぶ「青少年ピースボランティア」の育成を開始した。平和に関心を持ち、行動を起こそうとする若い世代の受け皿は確実に広がっている。
高校で平和活動に取り組む草分け的存在、活水高「平和学習部」は今年、かつてない“大所帯”になった。毎年十人程度だった部員が倍近くに増えた。劣化ウラン弾被害に苦しむイラクの子どもへの募金活動を校内で取り組む一方、一万人署名やピースボランティアの校外活動にも加わる。
顧問の草野十四朗教諭は「校外活動と連携し、校内にその流れを伝えることで、また新しい可能性が生まれるかもしれない」と期待を込める。