核軍縮議員フォーラム コーディネーター 梅林 宏道さん(66) ピースデポ代表
今回、分科会として初めて「核軍縮議員フォーラム」が実現したことに大きな意義を感じる。
フォーラムは、超党派の国会議員でつくる国際的組織「核軍縮議員ネットワーク」(PNND)と、その日本支部に当たる「同ネットワーク・日本」が共同企画した。
日本の議員ネットは昨年七月に発足。先の衆院選前までに自民、民主、公明、共産、社民各党などから約六十人の国会議員が参加している。
「日本の核武装もあり得る」などと国際政治に対する認識不足の議論が出る中で重要な勢力だ。だが、この議員ネットが市民にあまり知られておらず、市民との対話や意見交換も十分に進んでいない段階。分科会で、市民と議員の対話の場が設けられる意義は大きい。
参加議員の取り合わせも注目される。核兵器廃絶に向かう意思を明確に表した国家連合「新アジェンダ」の中でも中心的役割を果たすニュージーランドからケイス・ロック議員、米国と軍事同盟関係にありながら核廃絶に向け独自の外交を展開するカナダから元軍縮大使のダグラス・ローチ上院議員が参加予定。
日本からは、議員ネット会長である自民党の鈴木恒夫衆院議員と民主党の中川正春衆院議員が出席する予定。「二大政党」がもたらす政権交代の緊張感は、官僚主導の軍縮政策を変革する機運にもつながる。
分科会では、新型核兵器の研究予算を付けるなど米ブッシュ政権の危険な核戦略をストップさせるため、議員の国際的な協力関係をどうつくっていくかが主なテーマとなる。核廃絶の世論と、軍縮の最終的な決め手となる政府施策をつなぐ議員の役割なども、市民とともに考えたい。 (この企画は報道部・向井真樹、平古場豪、東京支社・大場泰造が担当しました)
新アジェンダ連合(NAC) ブラジルやニュージーランド、南アフリカ、スウェーデンなど7カ国でつくる核兵器廃絶を目指す国家の連合体。1998年の発足以来、国際的な軍縮交渉をリード。2000年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議では、核保有国による「核兵器廃絶への明確な約束」を明記した最終文書の採択に、重要な役割を果たした。