核なき世紀を語る
 =地球市民集会ナガサキを前に= 4

「北東アジアの平和に向けた努力が今ほど求められることはない」と語る朝長万左男さん=長崎市坂本1丁目、長崎大・原爆後障害医療研究施設

ピースサイト関連企画

核なき世紀を語る =地球市民集会ナガサキを前に= 4 非核兵器地帯と核の傘 コーディネーター 朝長 万左男さん(60) 長崎大・原爆後障害医療研究施設長、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)国際副会長・北アジア地域代表 ◆一人ひとりが努力を

2003/11/17 掲載

核なき世紀を語る
 =地球市民集会ナガサキを前に= 4

「北東アジアの平和に向けた努力が今ほど求められることはない」と語る朝長万左男さん=長崎市坂本1丁目、長崎大・原爆後障害医療研究施設

非核兵器地帯と核の傘 コーディネーター 朝長 万左男さん(60) 長崎大・原爆後障害医療研究施設長、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)国際副会長・北アジア地域代表 ◆一人ひとりが努力を

あるアンケートでは、日米安全保障条約肯定派が七、八割。一方、北東アジアの非核化地帯化に賛成の人が七、八割。この数字に日本国民の自己矛盾がある。前回の分科会でも、日本側が北東アジアの非核化を提案する場合、日本が米国の核の傘にあることが最大の障害になると指摘され、それを克服するアイデアは積み残しになっていた。

最初に日米安保を破棄して対等の立場で非核化を交渉していくのか、安保を維持したまま非核政策を主張していくのか。国民が北朝鮮のミサイル、あるいは核の脅威にさらされていると感じている現状では、前者は現実的ではないとの指摘もあり、非常に難しい問題に入っていく。

今回、初めて日本の政府関係者が出席する。日米安保を堅持する政府の考え方も提示され、非核化を具体的に進めるための方策がある程度は出てくるのではないか。

前回の分科会当時に比べ、世界の状況は格段に切迫している。冷戦構造が崩壊し、新たに地球規模での地域紛争が多発。中東、南アジアでの核拡散問題がクローズアップされ、超大国米国がテロとの戦いの時代に突入した。北東アジアでも、北朝鮮問題という大きな変化が生まれている。この時代に日本はどの選択肢を選び、どう平和を築いていくのか、重要な正念場を迎えている。

日本は当然のことながら、北東アジアの構成国と共存共栄を図っていくことが望まれる。しかし、現実には拉致問題、歴史問題などいまだに対立点を抱えている。国民は歴史や現在の世界情勢を学ぶ義務があり、戦争のない北東アジアの実現に向けた一人ひとりの努力が今ほど求められることはない。パネリストには分かりやすく説明するよう強く注文しているので、多くの人に参加してもらいたい。

非核兵器地帯 核兵器の製造、実験、保有、取得などの禁止に加え、核保有国からの核攻撃もさせない確約を、ある地域の国々が結ぶこと。南半球は陸地の99%が非核化されている。北半球はモンゴルが「非核地位」を国連で認められたほか、中央アジア5カ国が合意し、発効準備が進められている。