追悼空間 名簿収めたガラス柱
国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の第一の役割である犠牲者を悼むための場所となる。地下二階に位置する広さ約三百二十平方メートルの静寂の部屋。地上まで吹き抜けの高さを持つ。
間接照明を埋め込んだ十二本のガラス柱が立つ。そして部屋の端にもう一本、ガラスの柱がある。高さ九メートルの縦長の箱になっている。この中の二十七段の棚に、長崎市所有の原爆死没者名簿が保管されている。
来館者が追悼空間に入り、長方形の室内の隅にある名簿棚のガラス柱を見たとき、その視線の方角は爆心地を向くことになる。祈念館から北西へ約二百五十メートル先に爆心地がある。ガラス名簿棚の前には、木製の献花台も置いた。
部屋の壁に沿って、ベンチ式の長い座面を設けた。天窓からは太陽光が入る。地下空間とはいえ、晴れの日はかなり明るい。原爆は地上約五百メートルでさく裂したとされる。その空が見える。