高木忠孝さん(72) (長崎市牧島町) 投下直後の不思議な光
「ピカッて光ったとです」。高木さんは当時十六歳。西彼戸石村の金比羅山山頂で、敵の航空機の襲来を監視する監視隊員として働いていた。
あの日は午前十時半すぎにB29の襲来を確認。間もなく虹のような不思議な光を見て、耳を裂くような爆発音の直後、爆風で体が浮いた。気付くと、十二、三メートルほど下の山肌に倒れていて、右手の親指と小指を骨折していた。帰宅すると、自宅の窓ガラスも全部割れていた。
前日、広島の防空監視隊員事務所から、B29の警戒を強めるよう連絡があったばかりだったという。
「最近、若い人が戦争を知らない時代になった。あの惨状を記録として残しておきたい」。こう思って三枚の絵を描いた。そのうち、山頂から見た原爆投下直後の不思議な光を描いたのがこの作品。「生きている間、核廃絶を世界中に訴え続けていきたい」と高木さんは話す。