長崎市長、判断変えず イスラエルの平和式典への不招待 「平穏かつ厳粛に実施」

2024/08/09 [10:45] 公開

被爆79周年 長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典

被爆79周年 長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典

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長崎市の鈴木史朗市長は8日、9日に開く平和祈念式典にイスラエルを招かない判断を巡り、報道陣の取材に応じた。イスラエルの招待を要求していた米欧の駐日大使らは相次いで式典欠席を決めており、鈴木市長は「(不招待は)政治的理由ではないが、十分に理解いただけていない結果」と受け止めつつ、判断は変えないと明言。理由について「平穏かつ厳粛に式典ができるよう心を配る中での判断」とあらためて強調した。
 日本を除く先進7カ国(G7)と欧州連合(EU)の駐日大使らは、イスラエルの招待を保留していた市に対し、7月19日付の書簡でイスラエルの招待を求めた。鈴木市長は25日に郵送で受け取り、31日には不招待を決定。パレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けるイスラエルには国際的批判がある中、抗議活動など式典運営に影響を及ぼす「不測の事態」の発生リスクなどを考慮した。
 鈴木市長は同日以降、米英仏など6カ国とEU、イスラエルの大使らに口頭で理由を説明したが、理解はされず「平行線」という。書簡で「イスラエルが除外されれば高官の式典参加は困難」とした6カ国とEUは8日までに、いずれも大使級ではなく、公使級や参事官級などが参列すると市に伝えた。
 鈴木市長は「8月9日は長崎市にとって一番大切な日。高齢の体にむちを打ち、酷暑の中で式典に参加する被爆者もいる。その式典に妨害による影響や支障が生じてはならないと思っている」と説明した。
 林芳正官房長官は8日の記者会見で「式典は長崎市主催であり、政府としてコメントする立場にない」と述べた。
 長崎市は同日、過去最多となる100カ国とEUの駐日大使らが式典に参列すると発表(同日午前9時現在)。このうち核保有国は米国、英国、中国、フランス、インドの5カ国。