きょう開幕

長崎新聞 2025/04/24 [09:45] 公開

へえ、「水曜ロードショー」が金曜に移ったのは大学生の時だったか。「魔女の宅急便」は平成元年で社会人1年目だ。「千と千尋」の2001年は、何故かうっすらと記憶があるような…▲と、同じように会場の年譜と自分史を重ねる人も多かろうと想像しながら見て回った。館内にいたのはほんの小一時間なのに、ずいぶん長い時間を過ごしたような気がしたのはおそらくそのせいだ▲昭和、平成、令和。スタジオジブリの作品群が日本じゅうの私たちと“伴走”してきたことを改めて実感する。県美術館できょう開幕する「金曜ロードショーとジブリ展」。ひと足お先に昨日の内覧会におじゃました▲〈おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。〉-作品の登場人物になれる撮影スポットのコーナーで、柔らかに開いた平仮名が目に留まった。「魔女の宅急便」のポスターのコピーは糸井重里さんの代表作の一つだ。作中にこの言葉はない▲〈おちこんだりもしたけれど〉-大地震や、新型コロナの流行や、社会の激動を想起するのはこじつけが過ぎるだろうか。それらの先にある2025年の今▲長く会えずにいる友人、遠くのどこかへ去った人、辛かったあの日の自分。写真を添えて〈げんきです〉と知らせたい相手は誰だろう。会期は7月6日まで。(智)