年賀状「出す派」の理由 つながり確認、義務、代筆…手間や時間かかっても続ける事情

2025/01/13 [12:38] 公開

年賀状を出す理由やこだわりポイントの一部

年賀状を出す理由やこだわりポイントの一部

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長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」のLINE(ライン)を使った年賀状アンケートでは、今年出した人の中にも“年賀状じまい”の動きがうかがえた。一方、さまざまな思いで新年のあいさつを届ける人たちの声も寄せられた。手間や時間、お金がかかっても送り続ける理由とは-。

□疎遠
 慌ただしい毎日で「日ごろは昔の友だちと連絡を取ることもない」という島原市の40代主婦。それでも年に一度、年賀状をしたためる時には友を思い浮かべ、楽しかったあの頃を思い出す。「その時間がとても好き。おめでとうのLINEスタンプを送るのは簡単だけど、少し大変な年賀状は心が動く。できる限り続けたい」
 つながりを再確認する機会にしている人は多い。同市の70代女性は「値上げしたとはいえ、85円で全国津々浦々まで『元気です』とあいさつができる」と前向きだ。長崎市の60代主婦は「日ごろ疎遠にしていて、ある意味贖罪(しょくざい)の気持ちもある」と吐露。「出さなければ病気と思われる」(同市・50代公務員女性)など、年賀状のやりとりが「安否確認」になっているという声も目立った。
 一方、義務感から年賀状を出す人も少なくない。転職したばかりの40代女性は「住所録を全員配られたので、1年目は書かないといけないと思った」。住所部分は業者に発注し、60枚ほど書いたという。南島原市の60代自営業男性は「お客さまだけには出す。商売の基本」とつづった。

□細々
 高齢化社会の中では「代筆」もキーワードだ。長崎市の50代女性は、90歳と88歳の両親に代わって毎年制作。自身は少しずつLINEに移行しているが、両親の分は「だいぶ減らしているが、年賀状への熱い思いもあるようで、完全な年賀状じまいは難しい」。別の50代女性は「父の年賀状をたくさん書いて大変だった。代わりに書いてくれる人がいればいいけど、年齢が上がると大変。年賀状じまいが届くと、正直ほっとする」と明かした。
 “出す派”の中でも、積極的な理由から消極的なものまでさまざま=表=。同市の40歳女性は静かな“年賀状愛”を記した。「今は仕事に子育てに忙し過ぎて年賀状がなかったら楽だろうと思う。しかし年賀状で年1回向き合う人もいるし、自分たち家族を振り返る機会になるし、届いた字に温かいつながりを感じる。いつかゆっくりと年賀状を準備できる時間が来る。それまで細々と続けたい」