小林製薬の山根聡社長は21日、紅こうじサプリメントによる健康被害を公表してから1年となる22日を控え、大阪市の本社で社員向けに「補償への対応を誠実に進め、品質と安全を最優先で考える『お客さまファースト』の経営を進める」と訓示し、再発防止を誓った。医療機関を受診した人は延べ約2700人。被害者への補償は完了していない。
小林製薬は昨年3月22日、サプリの摂取者に腎疾患などの症状が出たと発表した。
医療費や慰謝料といった本格的な補償を申請した人は今年2月時点で約770人。摂取と症状の因果関係を調べており、3月からは一部の人への支払いを始めた。ただ、治療中の人が多く、大半は金額を確定できていない。被害関連の特別損失は昨年末時点で127億円としているが、最終的な損失規模は不透明だ。
死者の情報も二転三転した。会社側は当初5人と発表したが、その後発表基準を変更。今年3月16日時点で死亡疑いの調査対象は136人で、132人の調査を終えて「サプリを明確な原因とする死者は判明していない」と説明している。