本明川ダムの本体着工 予備調査開始から42年 2032年度完成見込む 長崎県諫早

2025/02/03 [11:03] 公開

本明川ダム建設予定地と付け替え道路

本明川ダム建設予定地と付け替え道路

  • 本明川ダム建設予定地と付け替え道路
  • 本明川ダム本体工事着工式で、くわ入れをする大石知事(右から3人目)ら=諌早市立本野小
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国土交通省が本明川上流の長崎県諫早市富川、上大渡野両町で進める本明川ダムの本体工事着工式が2日、同市本野町の市立本野小で開かれ、国、県、市、地元関係者ら約120人が着工を祝い、早期完成を祈願した。

 洪水調節と渇水時の河川環境の維持を目的とした同ダム(堤高約60メートル)の総貯水量は620万立方メートル。1957年に多くの犠牲者を出した諫早大水害相当の集中豪雨に対応できる機能を持つとされ、2032年度の完成を見込む。
 五家原岳を源流とし、諫早湾に注ぐ1級河川の本明川は延長28キロと短く、川の勾配が急なため、水位が急速に上昇する。2020年7月の豪雨では、同市天満町の裏山橋付近で38年ぶりに氾濫危険水位を超えた。
 同ダムは1983年に予備調査が始まり、94年に建設事業に着手。治水と利水の多目的ダムとして計画されていたが、旧民主党政権時代の中断などを経て、2013年に利水を目的から外し、治水目的で事業継続となった。当初の工期は24年度までだったが、付け替え道路の施工計画見直しなどに伴い32年度まで延長され、総事業費は約500億円から約730億円に増加した。
 式典で国交省九州地方整備局の森田康夫局長は「地元優先、安全第一で早期事業完了に向けて全力で取り組む」と式辞。大石賢吾知事は「大切な財産を譲っていただいた地権者の方々の理解と協力に感謝する」、大久保潔重諫早市長は「市民の命と暮らしを守る災害に強いまちづくりにつながるよう整備促進に努める」と述べた。