新人三つどもえか…長崎・西海市長選の告示直前情勢 8年ぶりのリーダー交代へ

長崎新聞 2025/04/08 [11:10] 公開

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任期満了に伴う西海市長選の告示が13日に迫った。2期目の現職、杉澤泰彦氏(72)が退任し、元県議の瀬川光之氏(63)、司法書士の武宮雄志氏(42)、元西海市議の田﨑耕太氏(42)=いずれも無所属新人=による三つどもえの争いとなる公算が大きい。8年ぶりに市のリーダーが交代する同市長選の前哨戦を探った。
 「公認という言葉はないが、自民党公認の位置付けの選挙」。3月中旬にあった瀬川氏の後援会事務所開き。同党県連の前田哲也幹事長は推薦状を手渡し、県連を挙げて支える意向を強調した。
 県議を6期、県議会議長や県連幹事長を歴任した瀬川氏。「国や県とのパイプ役。まさに重鎮」(市議)。昨年11月の杉澤氏の不出馬表明を受け、支持者の声に押され「古里への恩返し」と立候補を決意した。県連や公明党県本部、100を超える企業・団体が推薦。事務所開きには自民の国会議員や県議団、18人いる西海市議の3分の2以上が顔をそろえ、経験や人脈の広さをうかがわせた。
 市長選初挑戦の武宮氏。司法書士として地域を回る中で、若年層の市外流出や空き家の増加を憂い、政治の道を志した。瀬川氏との一騎打ちとなった2023年の県議選は敗れたが121票差まで迫った。
 後援会長は初代市長の山下純一郎氏。瀬川氏を応援していたが21年の衆院選を巡る対応で決別し、武宮氏を支援する。現職の杉澤氏も前面に立って応援。総決起大会では、2代目市長の田中隆一氏も顔を出し、杉澤氏は壇上で「歴代市長3人が応援している」と声を張り上げた。山下氏と親交のある国民民主党県連代表の西岡秀子衆院議員(長崎1区)も「政治家個人として」応援弁士を務めた。
 3人の中で昨年11月にいち早く出馬の意向を表明した田﨑氏。「教育を変えるには政治を変えるしかない」と教職を辞して11年の県議選に立候補。涙をのんだが、その後、市議を2期務めた。市長選への挑戦は前回21年に続き2回目。三つどもえの争いとなった前回選は現職の杉澤氏に敗れたが、5千票超を得た。
 組織戦を展開する瀬川、武宮両陣営に対し、組織に頼らず、事務所開きなど人を集めることも極力控え、こまめに地域を回って街頭に立つスタイルで差別化を図る。「今の市政は長崎オランダ村を巡る訴訟など、多々問題がある。早期解決を図り、健全な市政へと立て直しを急ぐ」と訴える。
 旧西彼5町が合併し、市が誕生してから今月で20年。合併当時約3万4500人だった人口は昨年末で2万5千人を割り込んだ。若年層の市外流出も続いており、人口減少対策や産業振興などを巡って論戦が交わされる見通し。市長選に加え、県議補選(11日告示)と、定数が18から16に減って初となる市議選(13日告示)のトリプル選となる。