中国人原爆犠牲者を追悼 長崎・平和公園 遺族ら日中友好誓う

2024/07/08 [10:15] 公開

祖父の名前が刻まれた石碑に献花する倪さん(中央)=長崎市、旧浦上刑務支所・中国人原爆犠牲者追悼碑前

祖父の名前が刻まれた石碑に献花する倪さん(中央)=長崎市、旧浦上刑務支所・中国人原爆犠牲者追悼碑前

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戦時中に強制連行され、長崎原爆の犠牲になった中国人32人の追悼式が7日、長崎市松山町の平和公園内にある「旧浦上刑務支所・中国人原爆犠牲者追悼碑」前であった。犠牲者の孫らが中国から参列。慰霊と平和、日中友好を誓い合った。
 追悼碑は本島等元長崎市長(故人)ら市民有志が2008年に建立。当時の治安維持法違反などで浦上刑務支所(現在の平和公園内)に収容され、原爆の犠牲になった32人の名前が刻まれている。碑の維持管理委員会(共同代表・平野伸人氏ら4人)が、日中戦争の端緒となった盧溝橋事件が起きた7月7日前後に毎年、追悼式を開いている。
 中国から訪れた犠牲者の遺族ら40人や張大興・駐長崎中国総領事、県内の高校生ら計約90人が参列。全員で献花し、原爆投下時刻の午前11時2分に合わせて黙とうした。
 平野共同代表は「戦争や原爆の歴史を、中国をはじめとするアジアの人々の視点から直視していくことが戦争を繰り返さない決意を心に刻むことになると信じている」とあいさつ。
 初めて参列した倪樹人(げいじゅじん)さん(61)=中国河北省=は祖父の名前が刻まれた碑に献花し、「これが平和だと思った。どんな問題も話し合って解決することが平和への道だと思う」と話した。