苦しみや祈り、声に込めて 「水の会」が音楽朗読会 長崎の教会で

長崎新聞 2024/08/05 [12:10] 公開

山口美代子さんの被爆体験を朗読する長崎の「水の会」のメンバー=長崎市若草町、カトリック城山教会

山口美代子さんの被爆体験を朗読する長崎の「水の会」のメンバー=長崎市若草町、カトリック城山教会

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長崎と東京を拠点に活動する朗読グループ「水の会」は3日、長崎市内で平和を祈る音楽朗読会「マリアの丘から愛を込めて」を開いた。約120人が来場し、被爆体験などを聞いて平和や命の大切さを考えた。
 長崎原爆の日を前に開き17回目。例年、ピアノ演奏に合わせた朗読や合唱、カウンターテナー歌手の歌唱を披露している。
 長崎のメンバーは毎回、被爆者の体験を朗読で語り継いできた。今年は14歳のときに学徒動員先の三菱長崎兵器製作所大橋工場で被爆した山口美代子さんの体験記「あの日のこと」を朗読。被爆当日の長崎の光景、39歳で亡くなった父との別れ、そして生き残った者の後ろめたさを、情感を込めて語った。
 メンバーは5月に福岡市の山口さん宅を訪問。朗読することを伝えると「頑張ってね」と励まされたという。長崎の代表を務める東島真奈美さんは「体験していなくても、言葉の中に託された痛みや苦しみ、悲しみ、怒り、祈りを、人として心で受け止めて伝えていくことができると信じている」と来場者に語りかけた。
 公演中に何度も涙を拭っていた同市宝栄町の小野眞弓さん(84)は「毎年素晴らしい朗読を聞かせてもらっている。悲しいときだけでなく、優しさに触れたときに人は感動するのだと思う」と話した。