養殖魚53万匹が斃死 被害金額15億円 長崎の赤潮 農水省に支援要望

2024/07/31 [10:22] 公開

赤潮の影響で斃死した養殖魚=6月26日、雲仙市南串山町沖

赤潮の影響で斃死した養殖魚=6月26日、雲仙市南串山町沖

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6月から7月にかけて雲仙、長崎両市にまたがる橘湾を中心に発生した赤潮が長崎県内全域に拡大し、ハマチやシマアジなど養殖魚約53万匹が斃死(へいし)、被害金額が推定で過去最大の約15億円に上ることが30日、分かった。大石賢吾知事は同日、被害を受けた熊本、鹿児島両県の知事と農林水産省を訪れ、養殖業者への救済措置などを要望した。
 県によると、県内では6月中旬に有害赤潮プランクトン「シャットネラ」が橘湾で大量発生。橘湾全域でハマチやシマアジなど青魚を中心とした養殖魚が大量に斃死した。その後、発生した複数種の赤潮が県本土西側を北上。最終的に県北地区を含む本土全域に被害が及んだ。
 橘湾では昨年も赤潮が発生。有害赤潮プランクトン「カレニアミキモトイ」により、養殖トラフグの稚魚など約82万匹約11億円の被害が出ている。
 大石知事は徳永達也県議会議長と木村敬熊本県知事、塩田康一鹿児島県知事らと農水省を訪問。木村知事が三県合同の要望書を坂本哲志農相に手渡した。被害について▽共済金相当額を超える損失を直接補塡(ほてん)する救済措置▽被害抑制の取り組みに対する支援▽生残魚の品質低下など2次被害に対する赤潮特約での対応▽赤潮発生メカニズムの解明と防除技術の開発や実用化-などを求めた。
 坂本農相は「各県からしっかり話を聞き、対応策を実現できるよう努力していきたい」と答えた。大石知事は「長崎県にとって養殖は基幹産業の一つ。養殖業が持続可能な成長産業であるという位置付けを国にお願いしたい」と述べた。
 知事らは総務省にも支援を要望した。