諫早市長選の終盤情勢 異例の静かな選挙戦…「党営」と独自、投票率の低下懸念 長崎

長崎新聞 2025/03/21 [10:16] 公開

現職と新人の選挙ポスターが張られた掲示板=諫早市内

現職と新人の選挙ポスターが張られた掲示板=諫早市内

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任期満了に伴う長崎県諫早市長選は23日の投開票に向け終盤に入った。2期目を目指す無所属現職の大久保潔重候補(59)=自民、公明推薦=と、政治団体代表で諸派新人の犬尾公候補(51)の一騎打ち。公務を優先させながら遊説や個人演説会を開く現職に対し、新人は独自の戦いを進めている。選挙カーでの名前の連呼がほとんど聞かれず、異例の静かな選挙戦となっている。
 「今まで以上に立派な成績にならないとわれわれが応援した結果にならない。当選は間違いないとしても得票数が問題だ」
 19日夜、いいもりコミュニティ会館であった大久保候補の個人演説会。約100人の聴衆を前に、選対本部長を務める元県議の八江利春氏は自民の「党営選挙」だと強調した。県議や地元の市議候補2人もマイクを握り、国と県、市のパイプをアピールした。
 大久保候補は2003年に県議に初当選して以降、参院議員、県議、市長を経験し、今回は10回目の選挙戦。自身の後援会組織と推薦する自民、公明両党との連携でさらなる票の上積みを狙う。
 一方「給与・退職金ゼロ円市長」や日本一のまちづくりなどを公約に掲げる犬尾候補は「人を集めるのは申し訳ない」と個人演説会などは開かない方針。だが市民らの要望があれば「求められたところに行く」と語る。
 犬尾候補は立候補した前々回17年と異なり、今回は選挙の手続き関係を一人でこなす。序盤は選挙ポスター作りなどに追われた。ポスターを400カ所超の掲示板に張るのはかなりの労力がかかるが「これをやると学びになる。地域の人たちとの出会いもある」と強調。音楽を流しながら市内を車で回っている。
 激しい三つどもえの戦いだった前回21年の投票率は58・78%。今回は前回を下回るとの観測が広がっている。大久保候補は「1票の権利を行使してほしい」、犬尾候補は「投票に行って」とそれぞれ呼びかけている。