ペットの見送りどうすれば? 息を引き取ってから埋葬まで…後悔ない別れに備えを 長崎の事業者に聞く

長崎新聞 2025/04/28 [12:15] 公開

心地よい風が吹き抜けるペット霊園=長崎市、ペットのおはか

心地よい風が吹き抜けるペット霊園=長崎市、ペットのおはか

  • 心地よい風が吹き抜けるペット霊園=長崎市、ペットのおはか
  • ペットを見送る一般的な流れ
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ペットの室内飼いが増えるなど、飼い主との関係性はますます近くなり、もはや家族同然に接するようになった。ペットフード協会によると、犬や猫の平均寿命は2010年以降伸び続け、24年は犬が14・9歳、猫が15・92歳。なるべく考えずにいたくても、別れは時に突然に、いつかは必ず訪れる。ペットの葬送やペットロス(喪失した悲しみの反応)に寄り添う「グリーフケア」について、県内の事業者を取材した。

 「ありがとう」「忘れないよ」-。心地よい風が吹き抜ける木々の下に、ペットの名前やメッセージが刻まれた墓標が並ぶ。18年に整備された「ペットのおはか」(長崎市田中町)は遺骨を森に埋葬する自然葬が特徴。3年ほどで土に返るという。

 運営するポニーランドパートナーズ(同)の犬塚了介社長は「お別れの仕方に悔いがある人ほど、ペットロスから抜け出せないケースをたくさん見てきた」と話し「ペットの死は、そう何度も経験するものではない。納得のいく別れが迎えられるよう、あらかじめ情報を集めておくと焦らずに済む」と事前準備の必要性を説く。

移動火葬車も 
 以前はペットの亡きがらを自宅の庭に埋葬することが多かった。しかし、ペットとの関係性や住宅事情の変化、土壌汚染や鳥、イノシシによる掘り返しの懸念といった公衆衛生上の配慮から、火葬が定着。火葬炉を持つペット葬儀社や霊園が運営し、自宅近くまで移動火葬車が来る訪問タイプもある。

 自治体にも依頼はできるが、基本的に一般廃棄物扱い。対馬市や新上五島町は公営の動物専用火葬炉があり、1体ずつ個別の火葬や返骨もできる。

プランを吟味 
 火葬料はペットの体重が重いほど高額になる。同社では、個別火葬に飼い主が立ち会う「基本プラン」と、立ち会いがなく施設スタッフに一任する「ライトプラン」があり、ハムスターなどの極小動物から体重60キロの大型犬まで、段階的に料金を設定している。

 例えば小~中型犬の場合、基本プランは個別埋葬込みで3万5千円。ライトプランは合同埋葬で2万3千円。骨つぼや納骨袋、収骨(骨上げ)の代金も含まれる。

 業者選びのポイントとして「基本の火葬料は手ごろでも、立ち会いやひつぎ代などの費用が別途必要な業者もあり、思った以上の金額になることも。電話でしっかり希望を伝え、申し込む前に料金を確認してほしい」と犬塚社長。送迎サービスや夜間の火葬への対応、納骨まで見据えてお参りに行きやすい立地かどうかも選ぶポイントになる。

最後のお世話 
 ペットが息を引き取ってから火葬までの準備について、同社のペット葬儀ディレクター、田中百花さんに教えてもらった。

 亡きがらが傷まないよう直射日光が当たる場所は避け、夏場は冷房を効かせた部屋に安置する。死後硬直が始まるのは約1時間後。「目や口が開いていたら、なるべく早い段階で何度も優しく手で閉じてあげます。体はタオルや毛布の上に横向きに寝かせ、手脚をそっと胸の方に寄せてリラックスできる体勢がいいですね」。頭とお尻の下にタオルや枕などを敷いて高さを出すと、体液の流出を抑えることができるという。

 お湯でぬらしたガーゼで汚れをふいたり、ブラシで毛並みを整えたりと普段通りに手入れして、気に入っていたおもちゃや手紙、写真など、一緒に送ってあげたい品々の準備も忘れずに。ペットを見送った経験がある田中さんは「ペットと飼い主のつながりはとても深い。悲しみが『ありがとう』に変わるよう、まごころを込めてお手伝いしたい」と話した。