「あっという間に火が」と住民 山を覆う煙、いつまで…

共同通信 2025/02/27 [19:36] 公開

岩手県大船渡市で発生した山林火災の影響で煙が上がる山肌=27日午前9時6分

岩手県大船渡市で発生した山林火災の影響で煙が上がる山肌=27日午前9時6分

  • 岩手県大船渡市で発生した山林火災の影響で煙が上がる山肌=27日午前9時6分
  • 山林火災の避難所に身を寄せる被災者=27日午後2時30分、岩手県大船渡市
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 風に乗った煙が緑色だった山を覆った。岩手県大船渡市の山林火災は丸1日たった27日も延焼を続けた。「あっという間に火が迫ってきた」「自分の家も燃えているだろう」。市周辺では1週間で3回目の山火事。鎮火の見通しが立たない中、住民は「いつになったら安心して寝られるのか」と疲れの色をにじませた。

 太平洋に面し、入り組んだ湾が美しい景色を織りなす大船渡市三陸町と赤崎町。普段は磯の香りが漂うが、むせるような焦げ臭さが鼻を突く。市内各地に設置された避難所には着の身着のままの住民が身を寄せた。

 「とんでもない速さで家に火と煙が近づいてきた」。全域に避難指示が出た三陸町綾里地区の熊谷貞雄さん(87)は「自宅は全焼したようだ」と肩を落とした。

 火災現場から湾を挟んだ場所にある道の駅では、家財道具を積んだ車が避難。綾里の消防団に所属する男性会社員(47)は夜通し消火活動に参加したといい「火力が落ちたように見えたが、午前中の強風でまた範囲が広がった」と力なく語った。