石木ダム建設 事業継続おおむね了承 利水再評価検討委 長崎県

長崎新聞 2025/02/16 [10:30] 公開

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設を巡り、市の利水事業を再評価する2回目の会合が14日、市役所であった。審議した第三者の市上下水道事業経営検討委員会は、ダム以外の代替案や費用対効果を検討した上で市水道局の「石木ダムの事業継続が妥当」とする対応方針案をおおむね了承した。
 委員9人のうち6人が出席。「(市内既存ダムなど)施設の老朽化が限界に来ており、もう待てない」「絶対にダムを完成させてほしい」と石木ダムの早期建設を促す意見が相次いだ。検討委員長の横山均・県立大教授は石木ダムの費用対効果が高いことに着目しながら「やる気と覚悟がないと(再評価を)また5年後もやりましょうとなる。こういう公共事業は異常だ」と指摘した。
 審議で市水道局は、石木ダムで賄う予定の水源量(1日約4万トン)の代替として14案を検証したことを報告。このうち、地下水を取水する案は「有力な地下水を発見できていない」と説明した。海水淡水化施設を整備する案も「不適」とした。その上で「石木ダムに代わる新たな代替方策の立案可能性はない」と結論づけた。
 費用対効果については、石木ダムの建設費と50年間の維持管理などの全事業費を約1061億円と試算。ダム整備で得る便益額(渇水時の給水制限による被害額)は約5868億円と算定し効果が大きいとした。検討委は次回以降の会合で結論をまとめ、答申する。
 傍聴は初会合同様、別室で受け付け、ダム建設に反対する市民団体などが審議を見守った。市民団体代表の松本美智恵さんは、県が佐々川の遊休水利権の活用を認めれば代替案になり得ると主張。費用対効果は「過大だ」と指摘した。