旧佐世保鎮守府で発掘調査 整備進める拠点の歴史公園 大正時代の倉庫跡公開

2025/03/10 [11:30] 公開

公開された旧海軍の倉庫跡「廃棄艦処分品第一仮格納庫跡」=佐世保市、立神広場

公開された旧海軍の倉庫跡「廃棄艦処分品第一仮格納庫跡」=佐世保市、立神広場

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「させぼ立神近代化歴史公園」の整備を進めている佐世保市教委は1日、同市立神町の立神広場で実施した発掘調査の現地説明会を開き、旧海軍の倉庫跡「廃棄艦処分品第一仮格納庫跡」を関係者に公開した。
 立神広場は日本遺産「鎮守府・佐世保」の情報発信拠点の公園として整備し、2026年11月の供用開始を予定している。敷地は約5千平方メートル。1889年に開庁した佐世保鎮守府の関連施設で、明治期から昭和期の建物遺構が残る遺跡「旧佐世保鎮守府倉庫跡」となっている。発掘調査は1945年に記録された配置図に基づいて先月、実施した。
 公文書などによると、倉庫跡は1922年に建てられた木造の平屋で、広さ約700平方メートル。建築費は1万9285円(現在の価値で約5千万円)と記されている。ワシントン海軍軍縮条約によって、艦艇の解体が必要となり、その装備品などを保管する仮設倉庫として建設された。その一部の約140平方メートルを発掘調査した。
 床面はコンクリートで、その下に大きな石が敷き詰められていた。周囲には砂岩を使った溝があり、補修した跡も確認された。砲弾の薬きょうや昭和初期のビール瓶などが出土した。市教委文化財課学芸員の髙橋央輝さんは「文献では分からなかった構造が、明らかになった。仮設にしてはしっかりした建物。大正時代に建てられ、補修しながら使われていたと思われる」と説明する。
 倉庫跡地は、埋め戻してガイダンス施設を新設する。広場には、立神音楽室「レンガハウス」として活用されていた弾薬包庫が現存し、ほかに「爆発管庫跡」などの遺構が確認されている。敷地は国有地で、公園完成後、市に譲与される。
 公園は当初、2025年7月の供用開始を予定していたが、汚染物質の鉛による土壌汚染の影響でオープンが遅れる見通しになった。土壌汚染対策法が定める基準を超える汚染物質が確認されたエリアについては、汚染土を地表に露出しないように盛り土にして封じ込める。