「真面目に生きる人を守る」 長崎県警本部長に着任した遠藤顕史さん(52)【インタビュー】

長崎新聞 2024/10/01 [11:30] 公開

県警本部長の遠藤さん

県警本部長の遠藤さん

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〈8月27日付で県警本部長に着任。交通対策や治安維持などにどう取り組んでいくのか。抱負を聞いた〉

 -今月、長崎市に大型複合施設「長崎スタジアムシティ」が開業。スポーツ観戦などで多くの人出が見込まれ、周辺道路の渋滞も懸念される。
 道路構造は変えられないため、今の条件で何ができるかを考えていく。事業者側には公共交通機関の利用を促してもらい、警察としても必要があれば信号の調整などの対策もとっていく。
 雑踏対策も重要。特に、帰る際に一気に人が動けば事故の元になる。事業者側に協力してもらい、退場する時間や空間を分けたり、細い通路は一方通行にしたりと対策に手抜かりがあってはいけない。そこは事業者と長い時間、意見交換を重ねている。
 東京五輪・パラリンピックの際は、内閣官房に設けられた事務局で警備や交通対策に携わった。コロナ禍で無観客になったが、計画は多くの観客が来ることを前提に組んでいた。その時の経験も生かしていければいい。

 -県内の治安について。
 犯罪率は全国でも低く、指数的には良好な治安を維持している。ただ、ニセ電話詐欺やSNS型投資詐欺の被害が大きく増えている。うまい話があったら一歩立ち止まってもらうことが大事。県民にそのことが伝わるよう工夫して発信していく必要がある。

 -交通部門の経験が長い。印象に残っている出来事は。
 多くの交通事故や犯罪の被害者遺族に話を伺ってきた。交通事故や犯罪で肉親を亡くした方は時間がたっても心の傷は癒えない。20年前の事故を昨日のことのように語られる。それが実態。そういう話を直接伺い、交通事故や犯罪を減らさなければという強い思いを持ち続けている。

 -目指すべき組織像やリーダー像は。
 人の知識や経験は偏りがある。それを自覚した上で、いろんな人の知見を借り、結果、組織として最大の能力を発揮できるよう全体をマネジメントしていくことが求められる。職員と一緒に苦しみ、悩み、喜びを分かち合いたい。職員には、一人で悩むのはやめましょう、と伝えた。

 -抱負を。
 真面目に生きている人が損をする世の中は間違っている。警察の仕事は国民生活にとって最も身近な分野。真面目に生きている人たちを救い、守っていきたい。

【略歴】えんどう・けんじ 東京都出身。東大経済学部を卒業後、1995年に警察庁入庁。福井県警本部長、自動車安全運転センター理事など歴任。休日はジョギングをしたり、妻と歩いたりして本県の歴史が息づいた街を満喫している。新鮮な海産物がお気に入り。