長崎県内、バブル以来の高水準…造船・重機大きく改善 日銀9月短観

2024/10/02 [12:30] 公開

日銀短観 県内業況判断DI(全産業)推移

日銀短観 県内業況判断DI(全産業)推移

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日銀長崎支店が1日発表した9月の長崎県内企業短期経済観測調査(短観)は、全産業の景況感を示す業況判断指数(DI)がプラス20に達した。6月の前回調査より4ポイント改善。バブル景気からの後退局面だった1991年8月以来33年ぶりの高水準となり、全国のプラス14を上回った。
 業況判断DIは「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた数値。県内は90年2月のプラス46をピークに下落し、長くマイナス圏に低迷したが、2013年6月からプラス圏に浮上。途中、新型コロナウイルス禍で20年6月にマイナス31まで落ち込んだものの、緩やかな回復傾向が続いている。
 132社(製造業46、非製造業86)を対象に8月27日~9月末に調査し、131社が回答した。
 このうち製造業はプラス6で、前回からの改善幅は8ポイントに上った。防衛関連需要の増加や造船の受注回復により、汎用(はんよう)機械が33ポイント、造船・重機等も37ポイントそれぞれ大きく改善し、全体を押し上げた。
 非製造業はプラス27で、前回を2ポイント上回った。クルーズ船のインバウンド(訪日客)や修学旅行生が増え、運輸・郵便が9ポイント、宿泊・飲食サービスが12ポイントいずれも上昇した。
 ただ、全産業の先行き3カ月はプラス14で6ポイント悪化する見込み。特に製造業は汎用機械がマイナスに転じ、非製造業は不動産、卸売、宿泊・飲食サービスが下落。会見した伊藤真支店長は「非製造業のマイナスが大きく、市況の不透明感から先行きを慎重にみる企業が多い。人手不足による供給制約もある」と述べた。
 人手の「過剰」から「不足」を差し引いた雇用人員判断DIはマイナス40。半導体需要の回復などを背景に、先行きはマイナス45と不足感が強まる見通し。