開発した豆モヤシで大腸がん抑制 男性ホルモンも上昇 長崎国際大などの研究チーム

2024/10/11 [11:32] 公開

豆モヤシで飼育したマウス(右)と通常のエサでポリープが増大したマウス(田中宏光准教授提供)

豆モヤシで飼育したマウス(右)と通常のエサでポリープが増大したマウス(田中宏光准教授提供)

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長崎国際大薬学部(佐世保市)の田中宏光准教授の分子生物学研究室を中心にした研究チームが開発した、ポリフェノールの一種であるクメストロールを多く含む豆モヤシに、大腸がんのポリープの増殖を抑制し男性ホルモンを上昇させる効果があることが、チームのマウス実験で明らかになった。先月、国際科学誌のバイオロジーで論文を発表した。
 クメストロールは野菜に含まれる栄養素で、がんやアルツハイマー病の抑制効果が報告されている。研究チームはその成分を多く含む豆モヤシに着目し、含有量を約20倍に増加させる栽培法を開発。研究成果をまとめた論文を2021年に発表し、栽培法の特許を取得した。
 今回の研究では、大腸がんを発症する遺伝子を持つマウス24匹で実験。その半分にクメストロールを多く含む豆モヤシを粉末にしてエサとして与え続けた。通常のエサで飼育したマウスは、2ミリ以上に増大したポリープが1個体に約65個発生し、がんを発症。豆モヤシの場合、その数が3分の1ほどに抑えられた。
 また、豆モヤシを与えたマウスの血液を調べたところ、男性ホルモンの血中濃度が約10倍に上昇していることも分かった。豆モヤシがうつ予防につながるなど、健康長寿に重要な男性ホルモンを増加させる効果があることを明らかにし、特許を申請した。さらに内臓脂肪が減少することも確認された。
 この豆モヤシに関しては、アルツハイマー病の発症を抑える効果があることも23年に論文で発表。ベンチャー企業と連携し、豆モヤシを成分とする健康食品も製造、販売している。
 今後、今回の研究成果について臨床試験を実施し、人への効果を調べる。田中准教授は「がん、うつ予防などについてポジティブなデータが得られれば、その証拠に基づいた健康補助食品として提供したい」としている。