金融庁は18日、証券会社の顧客の口座が乗っ取られ勝手に株が取引されるなどの不正件数が2月以降の約3カ月間で1454件に上っていると発表した。株式などの不正売却額は約506億円に達した。株の不正取引は野村証券や楽天証券など少なくとも6社で確認されており、被害が拡大している実態が明らかになった。
金融庁は今回、各社からの報告を基に、2月から4月16日までの状況を集計した。不正アクセス件数は3312件で、不正買い付け額は約448億円に上った。
犯罪集団などが利用者を本物と似た偽のウェブサイトに誘導し、入力させたIDやパスワードを盗む「フィッシング詐欺」による乗っ取りが代表例。2月は不正取引が33件だったが、3月は685件、4月には736件と急増した。
証券会社によると、乗っ取られた口座を使って保有していた株が売却されたり、身に覚えのない中国企業の株が購入されたりしていた。一部の証券会社はこうした株式の買い注文の受け付け停止といった対応をしている。