V長崎 1分け3敗と足踏み リーグ戦残り10節 逆転昇格へ「まず勝利を」

長崎新聞 2024/08/28 [10:45] 公開

V長崎のリーグ戦日程

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  • 2年連続で2桁得点に乗せた昨季の得点王フアンマ(左)。エースの得点は終盤戦に向けて重要になってくる=諫早市、トランスコスモススタジアム長崎
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サッカーJ2は残り10節となり、2枠のJ1自動昇格争いが佳境に入る。V・ファーレン長崎は14勝10分け4敗(勝ち点52)の3位。第3節から22戦無敗を記録するなど好調だったが、3週間のリーグ中断を経て8月3日に再開後は、1分け3敗と足踏みが続く。上位2チームとの勝ち点差は清水と9、横浜FCと8に開き、厳しい状況に追い込まれている。3~6位が残り1枠を争う昇格プレーオフもあるが、目指すのはあくまで自動昇格。勝負の終盤戦を迎える。

◎不安定な守備

 中断前の第24節までの数字を見ると、5連勝や2度の3連勝があり、J2歴代2位となる22戦無敗を記録。自動昇格圏も維持していた。総得点47はリーグトップで、過去11シーズンの同時期と比べてもクラブ歴代最多得点。負けもわずか1だった。だが、リーグ再開初戦となった第25節水戸戦で敗れると、第27節山形戦、第28節山口戦で今季初の連敗。わずか1カ月で3敗を喫した。
 不安定な守備が停滞の要因と言える。敗戦はすべて複数失点。24試合を終えて22失点と堅守を誇っていたが、直近4試合で8失点と守備陣が崩れている。失点パターンはセットプレーや、ビルドアップのミスをはじめ、寄せの甘さを突かれて中央を突破されるなどさまざまだ。
 今季は中盤でブロックを形成するゾーンディフェンスを採用していた。より試合を支配するために夏前頃から、前線からのプレスを強めたり、ブロックの位置を高めに設定するなど模索していた。これが思うように浸透しなかった。暑さもあり、寄せが甘く軽い守備も散見されるようになった。下平監督は「攻守において立ち返り、ベースとして積み上げてきたところの精度を上げていく」と原点回帰を示唆。球際で競り勝つ堅守を取り戻すことが再び上昇気流に乗るための必須条件になるだろう。

◎清水戦ヤマ場

 自動昇格を勝ち取るためには、来月7日のアウェー清水戦がヤマ場だ。清水と横浜FCは第33節で直接対決を控えているが、この2チームが残り試合で大きく崩れることは考えにくい。V長崎は清水との直接対決で勝ち点差を縮める「6ポイントマッチ」を落とすようなことがあれば、2位以内の可能性が大きくしぼむ。この大一番を心身ともに万全の状態で迎えるためにも、まずは31日のホーム栃木戦で勝利して、勢いを取り戻したい。
 9月22日の群馬戦は、Jリーグ初年度からさまざまな歴史を刻んできたトランスコスモススタジアム長崎での最後のホーム戦。10月6日の大分戦からは、長崎市幸町の新スタジアムに本拠地を移す。逆転での自動昇格へ、とにかく勝ち続けて上位陣にプレッシャーをかけ続け、可能性を十分に残して、こけら落としを迎えたいところだ。
 苦しい戦いは続いているが、ここへきて、昨季得点王のフアンマや前半戦で絶好調だったマテウスがゴール数を2桁に乗せた。中村も復帰し、新加入の照山、青木義がチームにフィットしつつあるなど、終盤戦へ明るい材料も出てきた。
 何より、選手たちに諦める気持ちは全くない。あと一歩で昇格を逃した2020年の悔しさを知る主将の秋野は「周りを気にするより、自分たちを信じてやり抜くことが大事」と仲間を鼓舞する。下平監督は「J1昇格の目標に向かうにはサポーターの応援が必要。諦めず最後まで一緒に戦ってほしい」と強力な後押しを呼びかける。17年にV長崎で自動昇格の喜びを味わっている中村は「勝ち点差は離れているが不可能ではない。戦う姿勢を見せて、結果を出したい」と再現を誓う。