長崎県のジェンダー・ギャップ 4分野とも指数は改善 市町議、4年連続最下位

2025/03/08 [10:50] 公開

ジェンダー・ギャップ指数 長崎

ジェンダー・ギャップ指数 長崎

大きい写真を見る
上智大の三浦まり教授らでつくる「地域からジェンダー平等研究会」は8日の国際女性デーに合わせ、男女平等の度合いを「政治」「行政」「教育」「経済」の4分野30指標で分析した2025年「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」を公表した。長崎県は4分野とも指数が前年に比べ改善したが、政治では市町議の指数が4年連続で全国最下位となるなど男女格差の解消には依然、程遠い。今年は国連が国際女性デーを提唱して50年。

 指数公表は22年から始め4回目。政府統計などから30指標を選出し、スイスのシンクタンク、世界経済フォーラム(WEF)が毎年公表するジェンダー・ギャップ指数とほぼ同様の手法で統計処理した。
 指数は「1」に近いほど平等であることを示すが、長崎県は▽政治0・164(全国35位)▽行政0・274(同35位)▽教育0・612(同31位)▽経済0・429(同20位)-だった。行政は後退したが、残り3分野は順位を上げ、特に経済は前年の45位(指数0・413)から大きく伸ばした。ただ、三浦教授は「経済の指数は単年で見ると振れ幅があるので、数年単位で見る必要がある」との見方を示す。
 各分野の指標ごとの指数を見ると、長崎県は経済で「フルタイムの仕事に従事する人の賃金」が3位、「フルタイムの仕事に従事する割合」が4位だった。だが、「フルタイムの仕事に従事する人の賃金」は女性が前年に比べ2100円上がった半面、男性は1万100円下がっており、三浦教授は「格差解消は男性の賃金低下のため」と分析する。
 「フルタイムの仕事に従事する割合」は男性が前年に比べ1・1ポイント下がったのに対し、女性が9・1ポイント上昇。産官学でつくる「ながさき女性活躍推進会議」の事務担当者は、「人手不足を背景に、女性の雇用を非正規から正規に転換する企業が増えている」と推測する。
 政治は前年の38位(指数0・158)から上昇。国会議員の指数は13位に改善したが、衆院の区割り変更で県内小選挙区が「4」から「3」に減ったためで、女性国会議員数は1人のまま変わっていない。
 23年12月末時点での議員数で比較した市町議は0・108と初めて0・1を上回ったが、4年連続で全国最下位だった。女性が1人もいない「女性ゼロ議会」は雲仙、東彼東彼杵、北松小値賀、北松佐々の4市町。
 教育も前年の35位(同0・573)から順位を上げた。大学進学率が12位だった一方、小学校の校長は46位、小中高校の副校長・教頭は45位で4年連続で40位台だった。
 行政は県職員採用(大卒程度)の低下が影響し、前年の33位(同0・259)から後退。市町の管理職や審議会委員、防災会議委員はいずれも40位台にとどまっている。一方、県職員の育休取得率は大きく改善し、13位に上がった。
 三浦教授は「九州は特に政治が課題。男性も含め、なり手不足が深刻な町村議会が女性ゼロ議会と重なる傾向にある。市民の政治参画をどう進めるかという観点から対策を講じる必要がある」としている。


◎チャートの見方
 都道府県版ジェンダー・ギャップ指数に基づき、政治、行政、教育、経済の4分野の男女平等度を多角形で表している。面積が大きくなるほど平等度が高く、全分野でバランス良く男女平等が進めば正方形に近づく。指数は各分野で1に近いほど平等を示すが、このグラフではほとんどの都道府県で値が0.1~0.6台のため、中心を0、外側を0.7とした。