陸上競技場の現地存続 市民団体などの請願、不採択 長崎市議会

2024/12/07 [11:34] 公開

定例長崎市議会の建設水道委員会は6日、同市松山町一帯の道路整備に伴う平和公園内のスポーツ施設再配置を巡り、被爆者団体などが提出した陸上競技場の現地存続を求める請願を賛成少数で不採択とした。13日の本会議で採決する。
 請願は、被爆者4団体や市民団体など計8団体が▽事業費の説明が不十分▽原爆死没者の遺骨が掘り起こされる可能性▽陸上の練習環境維持-などとして提出した。
 同委はこのうち、市民団体「市営松山陸上競技場・平和公園を活かし隊」の南輝久代表ら3人を参考人として招致。南代表は再配置後も陸上の練習環境は維持されるという市の見解に対し、新設される「陸上練習場」は他の競技やイベントでも利用され「フィールドやトラック、外周を一体的に活用することはできなくなる」と主張した。
 市は市民総合プールの移転費に伴う国の補助金について、公園区域である競技場の位置では約51億円、公園区域ではない中部下水処理場跡(茂里町)では約2億円で、約50億円の差があると説明。全体事業費では最大約80億円の差があるという想定を示した。委員らはこれを踏まえた上で、より明確な資料提示を求めるなどとして不採択にした。
 判断を受け、南代表は「予想もしなかった。非常に残念。議論すべき内容が不十分な中での不採択は、議員との認識の差を感じた」と肩を落とした。
 市は建設水道委でソフトボール場の移転先についてベネックス総合運動公園(柿泊町)を検討しているとした。今後、関係団体と協議する見通し。