水難事故に警戒を

2024/07/10 [09:30] 公開

季節外れだが「春の小川」という有名な曲はのどかな情景を歌い、2番も優しい響きがある。〈春の小川はさらさらいくよ/えびやめだかや小鮒(こぶな)の群れに/今日も一日ひなたでおよぎ/遊べ遊べとささやきながら〉…▲夏の川では、遊べ遊べとささやく声に耳を貸さない心がけも要る。全国の川や海で水難事故が相次いでいる。7月最初の週末は、とりわけ川での悲しい事故が続いた▲6日は鹿児島県で中学3年の男子。7日は愛媛県で10歳の女の子、それに岐阜県で19歳の男性…。いずれも川で溺れて亡くなっている。中学生以下に限れば、溺れて死亡する事故は海や湖よりも河川が多いらしい▲浅いと思って進むと、急に深くなる。見る見るうちに増水する。ごつごつした石で転びやすい。〈さらさらいく〉だけならいいが、川の危なさは深さも流れも川底の様子も予測がつかないことにあるのだろう▲川に近づく時は、大人も子どももライフジャケットの着用が強く勧められている。梅雨が明ければ海へ川へと、お出かけの人は増える。水難への警戒も怠るまい▲文語体の「春の小川」を口語体に改めた童謡詩人、林柳波(りゅうは)は唱歌「うみ」の作詞も手がけた。〈海は大波/青い波/ゆれてどこまで続くやら〉。2番の歌詞はどこかしら「波高し」の警告にも読める。(徹)