加害者の思い無駄にしない 東京・池袋暴走事故6年

共同通信 2025/04/17 [07:15] 公開

松永拓也さんの妻真菜さん(左)と長女莉子ちゃん=2018年8月(松永拓也さん提供)

松永拓也さんの妻真菜さん(左)と長女莉子ちゃん=2018年8月(松永拓也さん提供)

  • 松永拓也さんの妻真菜さん(左)と長女莉子ちゃん=2018年8月(松永拓也さん提供)
  • インタビューに応じる松永拓也さん
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 2019年に東京・池袋で乗用車が暴走した事故から19日で6年となる。妻子を亡くした松永拓也さん(38)は昨年5月、当時服役中だった飯塚幸三元受刑者と刑務所で面会し、高齢者の免許返納の必要性を伝えられた。元受刑者はその約5カ月後、老衰のため93歳で亡くなった。「妻と娘の命と、加害者の思いを無駄にしたくない」。誰も交通事故の加害者や被害者にならないように。松永さんは各地で講演を続けている。

 昨年5月29日、関東地方にある刑務所の面会室。飯塚元受刑者は刑務官に車いすを押されて現れた。アクリル板越しの姿は刑事裁判の時よりもはるかに衰え、ほとんどイエスかノーしか応答できなくなっていた。

 それでも「再発防止の観点から、世の中の高齢者やその家族に伝えたいことはありますか」と問いかけると「早く免許を返すよう伝えてください」とはっきり口にした。

 面会を申し入れたのは松永さんだ。断ることもできたはずなのに、応じてくれた。妻真菜さん=当時(31)=と長女莉子ちゃん=同(3)=を失い「許せるはずないが、向こうも命を奪いたくて奪ったわけではない」。