「何とか遺体見つけて」 海自ヘリ2機墜落事故 亡くなった機長知るOBの願い 長崎

2024/06/23 [10:08] 公開

海上自衛隊ヘリコプターの衝突・墜落事故は関係者にも大きな衝撃を与えた。亡くなった機長を知っているという海自OBの男性(72)=長崎県大村市=は「何とか遺体を見つけて引き上げてほしい」と願っている。
 男性は33年間の海自隊員生活のうち大半を大村航空基地で過ごした。主に車両班として隊員の送迎を担い、厳しい訓練に励むたくさんのパイロットを間近で見てきた。機長とも面識があり、真面目な印象を抱いたという。「悪い評判は聞いたことがなかった」と話す。
 隊員は普段から「国民のために命を懸ける」ことを覚悟する。男性の息子も現役の隊員だが、男性は最悪の事態も想定しているという。それでも、事故を知り、行方不明者名簿に後輩の名前を見つけて「本当に残念に思った」。残された家族は気持ちの整理がつかないだろうと思うと、いたたまれなさが込み上げた。
 8人のうち7人は行方不明のまま、海自は死亡と判断した。男性は「確かに生きてはいないかもしれない。かなり費用はかかると思う。それでも、何とか体を引き上げてほしい。遺骨が遺族のもとに戻らないのはあまりにつらい」とうつむきながら語った。