長崎の「市もみじ谷葬斎場」 現地建て替え視野に調整…老朽化、プライバシー面の課題も

2025/02/17 [11:30] 公開

長崎市もみじ谷葬斎場の位置

長崎市もみじ谷葬斎場の位置

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老朽化などが課題となっている長崎市内唯一の火葬場「市もみじ谷葬斎場」(淵町)について、市が現在地付近での建て替えを視野に調整を進めていることが12日、分かった。既に近隣住民に新火葬場に関する説明会を開いており、新年度一般会計当初予算案には測量費などを計上。住民の理解を得るため、必要な用地などを具体的に固めた上で、慎重に説明を続けていくとみられる。

 市営火葬場は大正時代から現在地にあり、今の施設は1978年12月に整備。既に46年余りが経過しており、老朽化に加え、遺族らが単独で利用できる告別室や拾骨室がないなどプライバシー面の課題もあった。火葬事業は長崎市民に加えて、隣接する西彼長与、時津両町の住民も対象としている。

 市は2022年度に「新火葬場整備基本構想」を策定。それによると、年間の遺体火葬件数は21年度6227件で、高齢化に伴い増加傾向にある。今から十数年後の35~39年にピーク(年間約7千件超)を迎えると見込んでおり、新火葬場は35年度までの供用開始を目指している。

 複数の関係者によると、近隣住民への説明会は1月中旬にあり、数十人が参加。市側は仮に現在地で建て替える場合、現施設の裏手にある駐車場やその周辺の土地に建設する可能性があるとし、測量に関する説明もあったという。

 新火葬場の機能や設備についてはこれまで、有識者らでつくる「市火葬場整備計画審議会」が検討。建設地選定に向けた専門部会も設置し、現在地を含む複数の市有地について非公開で議論してきた。市は12日公表した当初予算案に「新火葬場整備調査費」として、用地測量費など計2千万円を計上している。