B1きょう開幕! ヴェルカ第2章、戦力充実 SR渋谷と2連戦…4、5日ハピネスアリーナ

長崎新聞 2024/10/03 [11:00] 公開

高い得点能力を生かしてヴェルカの攻撃をけん引するスミス=ハピネスアリーナ

高い得点能力を生かしてヴェルカの攻撃をけん引するスミス=ハピネスアリーナ

  • 高い得点能力を生かしてヴェルカの攻撃をけん引するスミス=ハピネスアリーナ
  • 「チームのために何でもする」と気合十分の川真田=ハピネスアリーナ
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バスケットボール男子Bリーグ1部(B1)は3日に開幕。来年5月4日までの約7カ月間のレギュラーシーズン、その後のチャンピオンシップ(CS)で熱戦を繰り広げる。長崎ヴェルカの開幕節は4、5日。長崎市に完成したハピネスアリーナでSR渋谷と対戦する。オフシーズンにはクラブ初の外国人指揮官となるモーディ・マオール監督を迎え入れ、国内外から若手有望選手を補強。今夏のパリ五輪に出場した馬場雄大との再契約も決まり、上位を狙える戦力が整った。新アリーナでB1の2年目に挑むチームを紹介する。

■結果を求める
 ヴェルカは2020年秋に県内初のプロバスケットボールクラブとして誕生後、最短の2シーズンでB1に昇格。昨季は27勝33敗の西地区6位で目標の「30勝」こそ達成できなかったが、それまでのB1参入初年度クラブ最多勝利数の「25勝」を上回った。

 本拠地を佐世保市から長崎市に移して臨む4年目のシーズン。クラブは「CS進出」を最低限の目標に掲げる。伊藤拓摩社長兼ゼネラルマネジャー(GM)は「クラブ創設時から3年で土台をつくり、スタジアムシティが完成する4年目にB1優勝を狙う構想を描いていた。今年はとことん結果にこだわるシーズンにしたい」と意気込む。

 マオール監督は「ヴェルカスタイルは大きく変えない」と宣言した上で、守備面で自分のカラーを出していく方針。理想とするのは「試合を通して強度を落とさないディフェンス」。オフシーズンは毎日のように午前、午後と2部練習をして、公式戦さながらの強度を要求してきた。

 選手たちもこれに呼応した。「人生で一番きつい」と苦笑いしながらも、運動量は増し、激しい守備に磨きがかかった。天皇杯、プレシーズンマッチでは積極果敢な守備から何度も相手の連係ミスを誘発。昨季よりも進化した堅守が会場を沸かせてくれそうだ。

■高さが強みに
 新たに迎え入れた選手は5人で、その平均身長は約2メートル。チームの平均身長も昨季の191センチより3センチ高くなり、課題だった高さが強みになった。注目は193センチの大型ガード、マーク・スミス。個人技に優れており、苦しい体勢からでもシュートを決める力がある。プレシーズンマッチの琉球戦では34得点を記録。それでも、マオール監督は「まだ自分の力を引き出し切れていない」とさらなる活躍に期待を寄せる。

 日本代表のセンターで身長204センチの川真田紘也も楽しみな存在。パリ五輪代表の最終候補16人に入っており、外国人選手に当たり負けしない体格と「チームの勝利のために何でもする」と言い切る泥くさいプレーが持ち味だ。フォワード山口颯斗は突破力に加えて、外角シュートの精度も高く、攻撃の幅を広げている。26歳の若手有望株は5月の若手日本代表の合宿にも参加している。

 外国人のエージェー・エドゥ、ジェハイヴ・フロイドはゴール下だけではなく、外角まで出て守ることもできる。エドゥはチーム最長身の208センチ。「アジア特別枠選手」で、コート上2人までという外国人枠にカウントされない。フロイドは動けるセンター。インサイドの力強さと仲間を生かすパスでチームに貢献する。

 既存戦力は主力の馬場、ジャレル・ブラントリーに加えて、クラブ創設時からのメンバーで、人一倍ハードワークを体現してきた松本健児リオン、髙比良寛治も相乗効果でレベルアップ。若手が増えた中、チーム最年長36歳の狩俣昌也の卓越したゲームメーク力も不可欠と言える。昨季は故障離脱した森川正明、荒谷裕秀も「今季はしっかり貢献したい」と燃えている。特別指定選手として加入して、プロ契約をつかんだ木林優の成長も楽しみだ。

■新アリーナで
 第1節の相手は天皇杯2次ラウンドで対戦したSR渋谷。2021年東京五輪で日本代表の主将を務めた田中大貴(長崎西高出身)、メンバー入りしていたベンドラメ礼生、現代表のジョシュ・ホーキンソンらタレントがそろう。当然、苦戦も予想されるが、目標に向けて最高のスタートを切りたい。

 オフシーズンには昨季のCSに出場したA東京、琉球と対戦。いずれも敗れはしたが、今季を戦っていく上で貴重な経験ができた。川真田は「理想のバスケットができれば互角に戦える」と手応えを得ている。

 新アリーナの完成に伴い、会場の演出、ダンスパフォーマンスなども昨季以上に盛り上がりそうな今季。狩俣は「ヴェルカとしても新しい章が始まる。(新アリーナ1年目に)ふさわしいシーズンを送れるように、ファンも一緒になって戦ってほしい」と呼びかけている。